サブスクの本質は「利用権」の売買にあり

サブスクリプションとは、モノやサービスを買い切るのではなく、利用権を定額で買う(売り手にとっては与える)課金モデルを指す言葉です。近年では、モノやIT 関連製品がパッケージ化されたサービスについての定額利用を指すことが多くあります。

サブスクリプションの浸透も、先ほどのシェアリングエコノミーの浸透理由と同様、モノやサービスは所有せずとも好きな時に利用できれば十分という消費者の意識変化を反映したものと言えます。また、デジタル商材の場合、追加の限界費用の小ささも重要なポイントとなります。

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(画像=THE21オンラインより)

サブスクリプションは、ユーザー側にとっては、買い取るというリスクを冒すことなく、手軽にサービスを利用できるというメリットがあります。近年はいろいろなサービスがパッケージ化して提供されており、ユーザーは利用することによる便益をこれまでより手軽に得ることができます。

特に、ウェブ雑誌やコミックス等に見られる、一定額(通常は月単位)を支払えば、あらゆる本や雑誌を無制限に利用できるサービスは、ユーザー側にとってもお得感が高いため多用されています。この「○○放題」型のサービスはデジタル商材で先行しましたが、現在はモノの分野でも始まっています(例:定額を支払えば好きな乗用車を適宜利用できる)。

サービス提供側のサブスクリプションのメリットは、安定収益が手に入ることです。特にデジタル商材の場合、限界費用はほぼゼロのため、コスト高にはなりません。つまり、ユーザーの満足度を高めて数を増やし、損益分岐点をいったん超えれば、その後は非常に高い収益性が期待できるのです。

嶋田毅(グロービス経営大学院教授)(『THE21オンライン』2019年06月07日 公開)

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