複数の道路に面した広い土地は、使い勝手がよいですが、相続税評価額は高くなりがちです。角地であるというだけで、1割ほど加算されることもあります。その差は比率としてはわずかですが、場合によっては数百万円にのぼることもあるでしょう。この多額の税金は、分筆登記によって抑えることができるかもしれません。

相続税は接する道路が多いと高くなる

節税,分筆登記,相続税
(画像=Bubbers BB/Shutterstock.com)

土地の相続税について語るとき、路線価の話は欠かすことができません。評価額の計算式はローン審査や売却時の査定にも使われるので、知っている人も多いはずです。

【路線価方式の場合】
・土地面積(平方メートル)×正面路線価×奥行価格補正率=土地の相続税評価額

念のため説明すると、正面路線価は1平方メートルあたりの価格で表される土地の単価です。国税庁が設定しており、年に1回改訂されています。路線価は全ての地域に設定されているわけではありません。もう1つの評価方法である倍率方式を採用している地域には、本稿の内容は当てはまらないので、注意しましょう。

上記の相続税評価額に、ほかの財産や基礎控除ほか各種控除などを加算・減算し、相続税率をかけると、全体の相続税額がわかります。ただしこの計算式はかなり簡略化したものです。正確に計算するためには、土地の形状や接道状況を加味する必要があります。土地の形状が影響するものとしてよく知られているのは、旗竿地(はたざおち)です。

間口が狭い通路の先に比較的広いスペースがある、「旗」のような形の土地のことをいいます。土地の利用や土地からの景観に制限が加えられるため、低く評価されるのです。反対に間口が広かったり、正方形に近い整形地であったりすると、相続税路線価は高く評価されます。特に影響が大きいのは複数の道路に面しているときで、上記の計算式に一定の割合で加算しなければなりません。

加算率は地区(路線価とともに国税庁が定めます)によって異なります。住宅地の場合、隣り合う2辺が道路である側方路線(いわゆる角地)の場合は、上記の計算式に3%を加えます。向かい合う2辺が道路に面している二方路線の場合、加算される率は2%です。商業地では加算率が最大10%となることもあります。

これらの加算率は、国税庁の奥行価格補正率表に載っています。興味がある人はご覧ください。

分筆登記で相続税が少なくなるパターン

分筆登記で相続税が軽減される主なパターンは、路線価の違う2本の道路に挟まれた二方路線の土地です。例えば以下のような条件だったとしましょう。

・住宅地
・ほぼ正方形の土地で広さは300平方メートル
・向かい合う2辺がそれぞれ道路に接している二方路線
・一方の路線価が20万円、もう一方が10万円

このまま相続税評価額を計算すると次のようになります。

・20万円×300平方メートル×102%(二方路線による加算)=6,120万円

これをちょうど半分で区切ると、次のように変わります。

・20万円×150平方メートル=3,000万円……1
・10万円×150平方メートル=1,500万円……2
・1+2=4,500万円

区切られた一方の土地は、路線価10万円で評価され二方路線による影響もありません。分かりやすくするために二方路線の例を挙げましたが、別のパターンもあります。間口の広い土地で、途中から路線価が変わる場合、その境目で区切ることで、相続税額が下がることがあるのです。区切るといっても、つい立てをしたりロープを張ったり、見た目を変えるだけでは認められません。

国税庁などの第三者に土地を分けたことを証明するためには、法務局で登記をすることが必要です。このように1つの土地を複数に分けて登記することを分筆登記といいます。

分筆登記の方法

分筆登記をする際には、正確な測量をしなければなりません。なぜなら不動産登記法により、法務局へ測量図の提出が義務づけられているからです。土地家屋調査士に依頼すると、登記まで一貫して代行してもらえます。依頼から登記までには、おおむね1ヵ月以上かかると見てください。費用は30万~50万円くらいです。土地の形状や場所、隣地との境界が確定しているかなどの条件によって変わります。

生前贈与や売却を考えておらず、そのまま相続させるつもりであれば、相続登記の際に分筆も合わせて行うことができます。その場合、遺言書にそれぞれの割合を記載しておくとよいでしょう。あらかじめ土地家屋調査士に相談しておけばスムーズです。付き合いのある不動産会社があれば対応できるかもしれません。

相続が発生したことを知ってから相続税の申告納税までの猶予は10ヵ月間です。長いようですが、財産調査や相続人調査、遺産分割協議などをしていると、あっという間に過ぎてしまいます。なるべく滞りなく手続きができるように配慮しておくことも、思いやりではないでしょうか。

分筆登記による相続対策は早めにプロへ相談しよう

分筆登記とは1つのものとして登記されている土地を複数に分けることを指します。これによって相続税を下げられるのは、複数の異なる路線価の道路に接している土地です。節税目的にするのであれば、測量と登記に30万円以上の費用がかかることも考慮する必要があります。測量会社や付き合いのある不動産会社に相談しておくとよいでしょう。(提供:YANUSY

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