内閣府が今年7月似発表した2019年度年次経済財政報告(経済財政白書)によると、多様な人材を活用していくために、会社に年功序列や長時間労働といった「日本的な雇用慣行の見直し」を図ることを求めている。変化を求められているのは、従業員側も同じだ。 会社の指示を待って動くのではなく、起業家の思考を持って自発的に働くことが求められる。

起業家の思考とはどのような思考なのか。2024年から流通が始まる新1万円札の肖像となることが決定した、日本の起業家の先駆け・渋沢栄一の思考を、彼の玄孫(やしゃご、孫の孫)でありコモンズ投信会長の渋澤健さんに聞いた。(取材・山本信幸/写真・森口新太郎)

渋澤健さん
1983年テキサス大学卒業、日本国際交流センター入社後、1987年UCLA大学MBA経営大学院卒業。ファースト・ボストン証券で外国債券を担当。JPモルガン銀行、JPモルガン証券、ゴールドマン・サックス証券を経て、1996年ムーア・キャピタル・マネジメント入社。2001年シブサワ・アンド・カンパニー、2007年に現在のコモンズ投信を創業。社会貢献活動にも積極的に関わっており、2016年にアフリカで起業する若手日本人を支援する「アフリカ起業支援コンソーシアム」を創設、事務局を務める。

新1万円札の肖像、渋沢栄一が起業家となった理由

渋沢栄一の資本家思考#1
(写真=森口新太郎、ZUU online編集部)

――渋沢栄一は、約500の企業の育成と約600の社会公共事業などに携わり「近代日本資本主義の父」と呼ばれています。富裕な農家に生まれ、一橋慶喜(後の15代将軍・徳川慶喜)に仕え、明治維新後は民部省の役人となった渋沢栄一は、なぜ〝道〟を外れ、起業家となったのでしょう。