未婚率が上昇している昨今、富裕層の中にも独身を謳歌している人が多くいると考えられます。もし、独身かつ身内がいない富裕層がいたとしたら、その莫大な資産は死後どこへいってしまうのでしょうか。遺産を活用してもらいたい人や団体があるのなら、今から対策をしておいたほうがよいかもしれません。
未婚率上昇!今の日本に独身はどれだけいるのか
第一次ベビーブーム世代が25歳前後をむかえた1970年から1974年にかけて、国内の婚姻件数は年間100万組を超えていました。1947年から2016年の間で最も婚姻件数が多かったのは1972年で、その数は約110万件です。
一方、2016年の婚姻件数は約62万組と、ピーク時の約半分にまで減少していることが分かります。翌年の2017年の総務省の統計(平成29年都道府県別出生・死亡数と婚姻・離婚件数)では、婚姻件数がさらに減少しており、なんと60万6,866組しかありませんでした。
婚姻件数が減少するということは未婚率が上昇するということです。2015年の時点で、20代後半の男性の約73%が未婚、30代後半でも約35%が未婚でした。女性では20代後半で約61%が、30代後半でも約24%が未婚です。
2015年の国勢調査では、15歳以上の男女のうち、未婚者は2,885万9,000人。さらに50歳以上の未婚者は男性で約262万人、女性でも約177万人にのぼります。意外に多くの人が未婚であることが分かります。
相続人不在の遺産はどこへ。法定相続人の範囲もチェック
では、もし独身で親族もいない人が亡くなった場合には、その財産はどこへいってしまうのでしょうか。法定相続人が不在である場合の遺産の行方について、あらためて確認しておきましょう。
法定相続人の範囲は
遺言書がなくても遺産を相続できる、民法で定められた相続人を法定相続人と呼びます。被相続人(死亡した本人)の配偶者は常に法定相続人となり、それ以外の親族は次の順番で財産を相続できます。
1被相続人の子、子がすでに死亡している場合は被相続人の孫
2被相続人の父母・祖父母
3被相続人の兄弟姉妹
被相続人の子や孫がいない場合には父母や祖父母が、父母や祖父母がいない場合には兄弟姉妹が相続人になるというわけです。独身でも親兄弟が存命の場合には、遺産はこれら家族が受け取ることになります。
ちなみに、内縁関係のパートナーは法定相続人になりません。また、法定相続人でも、相続を放棄した場合には遺産が相続されない点にも注意しましょう。
法定相続人がいなかった場合
こうした法定相続人がおらず、かつ遺言も残していない場合、遺産はどこへいくのでしょうか。法定相続人がいないことが分かると、まずは利害関係者もしくは検察官の申し立てにより、相続財産管理人を選任することから始まります。相続財産管理人が選任されると、官報で公告されます。そこから2ヵ月以内に相続人が明らかにならなかった場合には、相続債権者や受遺者への公告が行われます。
相続債権者や受遺者への公告期間が満了しても相続人がいなかった場合には、相続人の捜索公告が発せられ、なおも相続人が見つからなければ、特別縁故者が財産分与を申し立てることができます。
特別縁故者とは、被相続人と同一生計で暮らしていた内縁関係のパートナーや事実上の養子などのことで、申し立てを受けた家庭裁判所が縁故の存在などを鑑み、財産分与の可否を決定します。
特別縁故者がいなかった、あるいは特別縁故者が相続した後でも財産が残った場合、その財産は国庫へ引き継がれます。つまり、最終的には国の財産とされてしまうのです。
今から遺言書を残しておけば財産を有効活用してもらえるかも
自分の財産が国の財産となれば、そのお金がどこでどのように利用されるのか分かりません。自分の大切な財産ですから、死後の使い道も決めておきたいという人もいるでしょう。それならば、遺言書を作成してみてはいかがでしょう。
寄付の場合
財産を一定の団体などに活用してもらいたい場合は、遺産を寄付することもできます。例えば、すべての子どもの命と権利を守るために活動するユニセフに遺産を寄付する際は、まず日本ユニセフ協会に相談します(任意)。
次に、遺言執行者を決めておきます(必須)。これは弁護士や司法書士、信託銀行などの専門家がいいでしょう。その後は遺言書を作成し(必須)、遺言書を保管していることを日本ユニセフ協会に伝えておけば(任意)、死後に遺産が日本ユニセフ協会に寄付されます。
寄付したい団体がある人は、まずはその団体に連絡するところから始めてみましょう。
大切な人に相続させたい場合
内縁関係にあるパートナーや事実上の養子に相続させたい場合にも遺言書が必要です。有効な遺言書があれば、遺産を相続させることができます。遺言書の作成から保管まで、弁護士などに依頼しておけば安心です。
法定相続人がいない場合は遺言書を作成しておこう
法定相続人がいない独身富裕層は、早い段階で遺言書を作成しておいたほうがよいでしょう。特に、自分の財産の使い道は最後まで自分で決めたいという人は、だれにどのように残すのかを考えて、専門家に相談することをおすすめします。(提供:JPRIME)
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