「文系だから……」は言い訳にならない!

このようにお話しすると、「文系だからプログラミングはムリ」、「数字に弱いからファイナンスも苦手」と言う人が多いのですが、それは学ばなくていい理由にはなりません。

そもそも、文系と理系の区別があるのは日本だけです。数字や数学が苦手だと感じるのは、学校の先生の教え方が悪かったからに違いありません。「勉強」だと思わず、クイズやパズルを解く感覚で高校の数学をやり直してみると、きっと楽しめるはずです。

数学という純然たるロジックを学ぶと、クリティカルシンキングの力も身につきます。玉石混交の情報や多数の意見を鵜呑みにせず、自分の頭で考えられるようになるのです。

何が本物で、何が偽物か。どこをどう工夫すれば、最善な結果を導き出せるのか。そうしたことが判断できるようになれば、それこそ最強のスキルです。

ただし、忘れてはならないのが「目的」です。誰に向けて、なんのためにビジネスを行なうのか、常に考えてください。

顧客やともに働く人たちのニーズに沿うものを新たに作り出し続けるのがビジネスです。AIは、少なくとも今の段階では、過去の分析はできても、新たに何かを生み出すことはできません。

目的のために「~したい」という意志を持ち、ビジネスの方向性を決めるのは、あくまで人間です。感受性を磨いて世の中のニーズを見極め、人々の幸福を目指すこと。これが、「令和を生き残れる人材」の根本姿勢と言えるでしょう。

岩崎日出俊(いわさき・ひでとし)
インフィニティ〔株〕代表取締役
1953年、東京都生まれ。早稲田大学卒業後、〔株〕日本興業銀行(現・〔株〕みずほ銀行)に入行。22年間の勤務の過程で、スタンフォード大学経営大学院にて経営学修士(MBA)を取得。その後、J.P.モルガン、メリルリンチ、リーマン・ブラザーズの各投資銀行でマネージング・ダイレクターを務める。2003年より経営コンサルタント会社・インフィニティ〔株〕代表取締役。著書に『文系が20年後も生き残るためにいますべきこと』(イースト・プレス)などがある。《取材・構成:林 加愛》(『THE21オンライン』2019年6月号より)

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