相続の目的の一つに「手持ちの資産をできるだけ減らすことなく、上手に節税をしながら次の世代に引き渡す」ということが挙げられます。そのために「財産の評価を下げる」という方法があります。財産の評価を下げると言うと響きは良くありませんが、正確に言うと現実的な価値は変わらず、帳簿上においてのみ評価額を下げることを指します。

不動産の場合、その方法は一般的かつ効率的なものであり、土地の評価額を利用して財産評価を引き下げる方法がメジャーです。本稿では相続対策のための土地の評価額を利用して財産評価の引き下げる方法について説明します。

不動産は財産評価を下げやすい

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(写真=William Potter/Shutterstock.com)

財産の評価を下げやすいものの代表には不動産が挙げられます。相続をする際、現金をそのまま受け取るよりも不動産を相続した方が節税効果は大きく高まります。

不動産は建物と土地に分かれており、国が定めたいくつかの評価方法によってその価値が決まります。まず、建物の評価は固定資産税評価額(固定資産税を決める際の基準となる評価額)によって計算されますが、この金額は時価の40%~70%程度です。他方、土地の評価は、多くの場合、路線価(市街地で道路に面した宅地の評価額)によって計算されますが、この金額は時価の60~80%程度です。

つまり不動産を保有している場合、現金で持つよりもその評価は下がり、その差額が節税効果を生み出すというわけです。

土地の評価額を用いて財産評価を下げる具体的方法

①土地の評価額を用いて財産評価を下げる具体的な方法としては、まず、土地自体を第三者に貸すことが挙げられます。この場合、どの程度土地の評価が下がるかは、借り手側の利用形態や借りる期間に左右されます。例えば、借り手側が土地を自らの駐車場とそして利用するために車庫などの施設を自らの費用で造る場合などには、2.5~20%程度土地の評価が下がります。

②次に、土地の評価額を用いて財産評価を下げる具体的な方法として、土地上に建物を建築(家の建て替えなど)することが挙げられます。建物と土地の価格のどう按分するかを建物割合と言います。上記の通り、建物の評価額は時価の40%~70%程度、土地の評価額は時価の60~80%程度です。したがって、物件全体中に占める建物割合が大きいほど、土地単独で保有する場合よりもその評価額は下がるため、節税の効果も大きくなります。

例)
①土地の時価=2億円の場合(建物は保有なし)
土地の評価額=2億円×60~80%⇒1億2000万円~1億6000万円

②建物の時価=1億円、土地の時価=1億円の場合(時価合計2億円)
建物の評価額=1億円×40%~70%⇒4000~7000万円
土地の評価額=1億円×60~80%⇒6000~8000万円
合計=4000~7000万円+6000~8000万円⇒1億円~1億5000万円

このため、一見すると建物割合を大きくすれば良いだけのように見えますが、建物には消費税がかかり、土地には消費税がかかりません。この点を勘案して按分を考えることが不可欠です。

③さらに、土地の評価額を用いて財産評価を下げる具体的な方法として、土地そのもの又は土地上の建物を賃貸することも挙げられます。例えば、貸家建付地の価格は以下の算式で求めることができます。

貸家建付地の価額=自用地としての価額-(自用地としての価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

上記の算式からも判る通り、土地上の建物を賃貸した場合、建物賃借人にも土地および建物を利用する一定の権利があります。自分で利用しているときと比べて土地の利用にも一定の制限がかかるため、土地の評価額が下がるのです。土地上の建物を賃貸することで自己利用の場合と比較して評価は20~30%程度下がります。

このように現金をそのまま相続するよりも不動産を保有した方が節税効果はさらに高まります。

相続税対策には不動産投資が不可欠

不動産投資を行うことで、相続税は大幅に引き下げることが可能となります。現金や預貯金など、評価に関係なく課税対象となるものを相続する場合、不動産投資を検討してみることはとても大切だと言えるでしょう。(提供:Dear Reicious Online

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