初心者でも始められるポピュラーな投資手法といえば株式投資だろう。そのためには株式の売買を取り扱う「証券会社」選びからスタートする。投資初心者が知っておくべき証券会社を選ぶときのポイントとはなんだろうか。
日本国内の証券会社は約260社
銀行預金に銀行口座が必須であるように、株式の売買や投資信託をするためには、証券会社に証券口座を開設しなければならない。近年は多くの証券会社で、インターネットによる証券口座開設が可能になった。
日本国内には多くの証券会社がある。日本証券業協会の会員数は、リーマン・ショックがあった2008年度末の321社をピークに、2015年度末には256社まで減少している。ここから増加へと転じ、2019年5月現在は265社に微増している。旧来型の証券会社が減る一方で、フィンテック(ITを活用した金融サービス)などの新規参入が増えているのだ。
失敗しない証券会社の選び方 3つのポイント
証券会社は大きく分けて、野村証券や大和証券などのような「総合証券」と、SBI証券や松井証券などのような「ネット証券」の2つに分かれる。総合証券は、各地に営業拠点となる実店舗を構えて対面営業を行う。営業マンやアドバイザーが、株式投資や資産運用のアドバイスを行うなど、手厚いサポートが受けられる一方で、株式取引の売買手数料はネット証券に比べると割高だ。
一方のネット証券は、インターネット取引に特化した、基本的に実店舗を持たない証券会社のことで、株式取引のすべてがオンラインで完結する仕組みになっている。人件費や固定費がかからない分、売買手数料は、総合証券よりも安くなる。
証券会社を絞り込む上での判断基準は、「手数料」「取扱銘柄」「ツール・サービス」の3つだろう。
1)売買手数料
株式売買をすると、必ず売買手数料がかかる。手数料は資産運用のコストであり、投資で得た収益で賄われるので、売買手数料はなるべく安いにこしたことはないだろう。証券会社の売買手数料は、約定金額(1回の取引金額)ごとのものと、1日の定額金額が設定されているものがある。
中長期保有を目的に買って運用する場合は前者、デイトレードのように少額の取引を1日に何度も行うならば、後者の売買手数料が安い証券会社を選ぶほうが得になることが多い。投資家自身の投資のスタイルによって、どちらを重視すべきかが違ってくる。
2)取扱銘柄
証券会社によって取り扱っている株式銘柄は違いがある。取り扱っていない銘柄は、その証券会社からは購入できない。投資を始める前から購入したい銘柄やジャンルが決まっている人は、証券会社選びに影響してくる。そうでなくても取扱銘柄が多いほど、選択肢が増えるので、効率的な投資が行える可能性が高くなると考えるのが自然だ。
株式銘柄だけでなく、IPO(新規公開株)や単元未満株(1株からなど、より小さな単位・少額で購入できる株式)といった、特殊な投資商品の取り扱いについても、証券会社によって違いがある。自分が興味のある投資手法が、その証券会社で実行できるかどうかは確認しておきたい。
3)ツール・サービス
ツールというのは、主にネット証券での株式取引に使うウェブサイトやアプリのことを指す。インターフェース、チャートや検索機能の使い勝手、企業分析などの独自コンテンツを、各社がさまざまな工夫をし、差別化を図っている。これから投資を始めようとする初心者が、良しあしを判断するのは難しいので、インターネット上で閲覧できるユーザーの声や口コミなどを参照するのも有効だ。
また、投資家向けのサービスやサポート面の充実度もチェックしておきたい。サポートデスクの対応をはじめ、資産運用に関する幅広いアドバイス、老後資金の準備に有用なNISAやiDeCo口座のサポート、銘柄選定に関するセミナーの実施などさまざまだ。それぞれの証券会社で、独自の強みを持っている。複数の証券会社で口座を開設して、希望のサービスを利用するのも悪くない。
証券会社を見極める上ではさまざまなポイントがあるが、投資初心者がこれらすべてを検証することは難しい。まずはどこかの証券会社で口座を開設し、株式投資に慣れることから始めよう。そして、知識経験を得た段階で、自分のスタイルに合う証券会社をチョイスして、投資効率を高めるようにしてみるとよいだろう。