世界的な景気減速の波がついに米国にも訪れ、米株式市場では「1年以内にリセッション(景気後退)入りする」との懸念が広がっている。金融データ・分析の調査会社ファクトセットは「8月9日までにS&P500構成銘柄の90%が4~6月期決算を発表したが、指数構成銘柄の最終的な利益は0.7%減となりそう」との見通しを示している。実現するとS&P500を構成する企業の多くが今年1~3月期に続く減益となり、一般に2四半期連続の利益減少で定義される業績リセッションに突入することとなる。ちなみに、2四半期連続の減益は2016年1~3月期、4~6月期以来、3年ぶりのこと。今年7~9月期についても3.1%の減益が見込まれており、増益に転じるのは10~12月期となる見通しとなっている。
そうした中、ウォール街ではTAMへの関心が高まっている。TAMとは「実現可能な最大市場規模(Total Addressable Market)」の頭文字を合わせた言葉で、後段で述べる通り、ある製品やサービスのマーケットシェアが100%であるときに得られる年間収入の理論値である。 TAMが注目を集める背景には、企業決算でTAMへの言及が増加傾向にあること、TAMへの言及と業績の間に相関が認められること、IPOブームや未上場企業への投資拡大が指摘されている。
今回はウォール街で注目集めるTAMについてリポートしたい。