近年に入り、大型の台風や地震、火山の噴火などの天災が続いています。不動産投資に興味がある人でも、繰り返される天災に思わず及び腰になってしまっている人もいるかもしれません。いざ天災が起こった場合にはオーナーはどの程度まで補償をしなければならないのでしょうか。また天災に対する予防策や保険の対応はどのようなものでしょうか。本稿では天災と不動産投資の関係について説明します。

相次ぐ天災、不動産投資はどうなる?

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(画像=Andrey_Popov/Shutterstock.com)

不動産投資にはさまざまなリスクが存在します。事業としての側面で最も気になるリスクといえばやはり空き室リスクでしょう。しかし空き室リスクは立地の調査や家賃の設定など、事前の戦略でコントロールができるものです。一方でなかなか予測できないリスクも存在しています。その最たるものが天災です。津波や台風・地震などは人間の手にはなかなか負えないものといえます。

しかしこれらを恐れていては不動産を含めてあらゆる投資をすることができなくなります。では不動産投資ではこれらのリスクヘッジができるのでしょうか。

大型地震は事前に予防できる

物件オーナーなら天災の中でも地震はとりわけ気になるでしょう。近年になっての地震の多さもありますが、そもそも日本は歴史的に地震の多い国です。大地震に関する資料は古くは江戸時代から残っているほどであり、世界にも類を見ない地震に対する防災意識があるといえるでしょう。そのため建築に関しても日本では地震への備えは万全を期しています。

厳しい建築基準とともに、いざ地震が起きた際、どのように被害を最小限に食い止めるかについても技術が進んでいるのです。不動産の地震への備えは、「耐震構造」「免震構造」「制震構造」の3つに分かれます。

・耐震構造
地震が起きたとしても耐えられる強度の建築素材を使うことで、建築物が地震に耐えやすいようにしたものです。大きな地震が起きた場合でも、建築物そのものが地震に耐えられるため、建物の中に避難していることで被害を食い止めることができるようになっています。

・免震構造
建築物の下に免震装置といわれる装置を設置します。免震装置は大きな地震が襲った際、左右に大きくスライドする働きをします。これによってマンション自体の揺れを大幅に減らすため、揺れそのものが小さくなる仕組みになっています。免震装置を設置したマンションは、屋内の設備や家具などへの被害も小さくなることが特徵です。

・制震構造
建築物の内部に制震部材と呼ばれる制御装置を設置することで建築物の揺れを吸収する仕組みです。地震が起こると高い建物ほど上部の揺れは増幅しますが、制御装置はこの揺れを吸収するため、もともとは高層ビルなどで採用されていました。最近では一般的なマンションなどでも使用されつつあります。

保険への加入は忘れずに

設備とは別にいざ天災が起こった際、その補償として保険に加入することはとても大切です。日本では火事・落雷・水害など、自然災害に対する保険として火災保険が存在しています。ただし一般的な火災保険では、地震や噴火・津波などは補償していないものが少なくありません。この場合、火災保険の特約として地震保険に加入するかたちになります。

天災の際、オーナーはどこまで補償すべき?

いざ天災が起こった際、物件オーナーとしてはどこまで補償するかたちになるのでしょうか。これについては民法第606条で規定されています。

“民法第六百六条 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う”
出典:電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)

つまり天災で物件が損壊した場合、オーナーは物件を修繕する必要があります。ただし天災で壊れた家財や入居者のケガなどを負担する必要はありません。もし心配ならば家財保険などについての加入を検討してみるのも一つの方法です。

万一の事態を想定しておこう

「天災は忘れたころにやってくる」といいますが、いざ天災が起きた際、何の予防も取っておかなかった場合、大きな損失を招きかねません。物件購入の際、立地や設備に関してチェックすることはもちろん、保険への加入も忘れずに行っておきましょう。(提供:Incomepress


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