不動産投資のリスクを、実際に現場で起きている問題から学ぶ!

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(画像=DeawSS / Shutterstock)

不動産投資のトラブルは、ミクロで見るとさまざまな事情や状況で多岐にわたりますが、法的な結論はシンプルで、いくつかのポイントを抑えておけば、トラブル回避は充分に可能です。そこで、私たち弁護士が実際に相談を受けた案件から、よくあるトラブルをご紹介。なぜ問題が生じたのか、そしてどのように解決したのかをわかりやすく解説します。

ゴミ出しのルールを守らない入居者をなんとかしたい

ヴェリタス・インベストメント
(画像=ヴェリタス・インベストメント)

新潟県在住 清水さん(45歳、女性)からのご相談

金利も低いので、銀行に預けていてもお金が増えないと思い、貯金していたお金で東京にある小さなアパートに投資することにしました。買う前にアパートを直接見に行きましたが、特に問題はないと思っていました。

しかし、アパートを買ってからしばらくすると近所の人から、入居者が収集日でないのにゴミを出していて異臭がするのでどうにかしてほしい、との苦情がありました。早速入居者に連絡したのですが、一人暮らしの外国人も多く、連絡がとれない人がいたり、ゴミ出しのルールについて理解できない人もいたりして困っていました。

このまま何もしないで、近所の方から裁判でも起こされたら大変なので、どうにかならないでしょうか?できれば、問題のある入居者を追い出したいのですが、可能でしょうか?

よくあるトラブル(10)「 ゴミ問題とは?」

これで解決!

ご近所関係の問題でよくあるトラブルの1つに「ゴミ問題」があります。アパート経営をする場合においても、ゴミ出しについて,入居者同士や近隣住民との間で苦情が出たり、トラブルになったりすることがしばしばありますので注意が必要です。

ご相談者のご希望のように、そういう問題のある入居者に出て行ってもらい、根本的な解決を図るということを考えるオーナーさんも多いと思います。しかし、入居者の住む権利は、法律上、厚く保護されているので、問題があるからといって追い出すことは容易ではありません。

もちろん、入居する際の賃貸借契約書を工夫することで、場合によってはゴミ出しの方法に関して、契約違反を問うて入居者に出て行ってもらうこともできるかもしれません。もっとも、たとえば、入居者に対し禁止事項の1つとして「近隣の迷惑となる行為をしてはいけない。」という文言を契約書に加えたとしても、それでゴミ出しに問題があるからといって、直ちに追い出しができるわけではありません。入居者を追い出すためには、監視カメラで不適切なゴミ出し行為を撮影したりして、証拠を収集することも必要です。また、問題のあるゴミ出し行為が1回では足りず、複数回にわたり、その間に何度も大家から指導をしたのに改善しなかったという事実関係も必要でしょう。そうなると、現実的に、問題のある入居者を追い出すことは費用と手間のかかることを地道に行う必要があり、とても大変だということがご理解いただけると思います。

では、どうすればよいか。しっかりとした契約書をつくることは重要ですが、契約書は万能ではありませんので、なによりも大切なのは、適切な入居者を選択することと、入居する際に入居者に遵守事項を正確に説明し、入居後も守らせることが肝要です。その点で、管理会社に賃貸管理を委託して、日常の清掃やクレーム対応を依頼するのも一つの解決方法だと思います。