世の中には、知らないと損をする情報が意外と多い。「業務スーパー」もその一つかも知れない。業務スーパーが話題となったのは今年2月17日のこと、TBS系列『坂上&指原のつぶれない店』で「客殺到!! 超大量なのにナゼか超激安!? 業務スーパーSP」と題して放送された。番組ではやきそばが1キログラム138円、鶏肉2キログラム880円など文字通り「超大量なのに超激安」で販売している様子を伝えていた。ゲストで主婦でもある北斗晶さんは業務スーパーに週2回通い、マーク・パンサーさんはホームパーティーのために活用しているという。

株式市場でも業務スーパーは話題となっている。今年8月15日、業務スーパーを運営する神戸物産 <3038> の株価は年初来高値となる6380円を記録した。2017年末の2160円に比べると約3倍の高値である。背景には好調な業績に加え、最近では「タピオカ関連銘柄」として注目を集めた側面もあるようだ。

今回は「超大量なのに超激安」で業績を伸ばす神戸物産にフォーカスしたい。

業務スーパー、ユニークな商品を低価格で提供

神戸物産,株価
(画像=mamamia / shutterstock, ZUU online)

業務スーパーに限らず、低価格を武器に業績を伸ばすビジネスモデルは少なくない。たとえばアパレル業界では、ユニクロを運営するファーストリテイリング <9983> のようにSPA(製造小売業)として、企画・製造から流通・販売まで一貫して手掛けることでコストを削減、質の高い商品を低価格で提供することで業績や株価を伸ばしている。神戸物産が運営する業務スーパーも製販一体により、自社で生産・流通・販売を手掛けることで低価格を実現、業績を伸ばしている。

低価格もさることながら、商品のユニークさも業務スーパーの特徴の一つだ。大手スーパーでも低価格で提供するPB(プライベートブランド)を見かけるが、こちらは食品メーカー等に製造を委託し、大量のオーダーを背景に仕入れコストを抑える仕組みとなっている。これに対し業務スーパーはユニークな商品を「自社生産」する点に特徴がある。流通段階においても中間業者をカットし、直接仕入れることで低価格を実現している。

たとえば、業務スーパーならではの商品に「牛乳パックサイズ」のオリジナルスイーツがある。プリンやコーヒーゼリー、ようかん、杏仁豆腐などを「牛乳パックサイズ」で提供するもので、プリンなら通常の7〜9個分のボリュームがある。それを195円で提供しているのだ。また、鶏肉は加工工場に直結した自社の養鶏場で飼育し、肉を捌くのにもロボットを導入し自動化を進めている。神戸物産は21拠点の食品加工工場を所有しており、だからこそオリジナルスイーツのようなユニークな商品を低価格で提供出来るのだろう。

業務スーパーは知る人ぞ知る存在であったが、近年は『ドン・キホーテ&業務スーパー 殿堂入りベストバイ』(学研プラス)といったムック本が発売されたり、SNSやテレビ番組で話題となるなど知名度を着実に高めているようだ。

空前の「タピオカブーム」も追い風に