前週末については、既に、11月1日に次期ECB総裁に就任するラガルド氏が、欧州議会に宛てた書簡の中で、「ECBは多くの広範な政策手段を保有しており、金融安定のリスクがあるとはいえ、必要ならば利下げする余地がある」という認識を示したことで、ECBの金融緩和が意識されている中で、月末要因であるロンドンフィックス(日本でいう仲値のようなもの)でユーロ売りが加速し、サポートラインとして意識されていた1.1000ドルを下抜け、一時1.09637ドルまで下値を拡大する動きを見せました。

また、9月1日に実施された独ブランデンブルク州とザクセン州の議会選挙の出口調査が発表され、現時点ではメルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)と連立を組むドイツ社会民主党(SPD)が極右のポピュリスト政党(AFD)をリードしているとの報道がありました。このまま与党がリードを保てばユーロ売りの動きは一旦小休止するかもしれませんが、野党ポピュリスト政党(AFD)が巻き返しの動きを見せるようであれば、さらにユーロ売りが加速するものと思われます。

ポンドについては、明日3日より議会が再開されますが、10日に議会が再度休会になることから、英議会を中心にEU離脱問題へのヘッドラインが多数出てくる可能性があります。スコットランドの裁判所は、ジョンソン英首相が表明している議会閉会の仮差し止め請求を却下しました。ただ、仮差し止めを申し立てていたチェリー議員は、「裁判所は仮差し止め命令を出すことを拒否したものの、これは法的判断ではなく、来週初めに弁論を聞く意向を示した」と述べるなど、様々な憶測が飛び交っており、明日以降はポンドを中心とした動きになるのではないでしょうか。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

既に両国より公表されていたことで、大きなサプライズはなかったものの、9月1日より、米国による対中関税第4弾が発動されました。中国からも、それに対する報復関税がすぐさま発動されたことにより、本日のオセアニア市場ではリスク回避の円買いが強まりましたが、影響は一時的であり、すぐさま前週末のクローズレベルまで値を戻しています。両国からの追加関税は回避できなかったものの、トランプ大統領は中国との協議を「これまでと異なるレベルで再開する」と表明したこともあり、市場の期待感は高まっています。一旦は様子見、通商協議へのヘッドラインが出てくるまでは105円後半から106円半ばにかけての動きが中心になりそうです。

本日は、米国市場が祝日で休場となるため、全体的に動意薄な展開になりそうです。また、米国が三連休を前に前週末にポジションをクローズする動きが強かったことも、本日の様子見地合いを強めそうです。明日3日より、英国議会が再開というタイミングもあることから、本格的な動意は明日以降になる可能性が高そうです。ドル円の上値の重さは既に何度も確認済ですが、トランプ大統領が本日も中国との9月通商協議について話し合っていることを表明していることから、急速なリスク回避の動きにはならないでしょう。週末に米雇用統計が予定されているものの、今週は欧州通貨が目立つ展開になりそうです。

ユーロドルは早々に1.10ドル割れ、ただ、まだ戻り売り機会は残っている

ユーロドルの下落は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも示唆されていたのですが、戻り売りの水準を間違えました。1.1080-90ドルまで一度は戻るかと思いましたが、そのまま下落してしまい、結局1.1000ドルのサポートラインをも下抜けています。ただ、一旦反発傾向が強まっていることで、再度戻り売りの機会が出てきました。基本戦略としては、ユーロドルの戻り売り、1.1020ドル付近を戻り売り目途と考え、利食いは1.0960ドル台、損切りは1.1050ドル上抜けに設定します。

海外時間からの流れ

9月1日の米国、中国からの追加関税により、注目されていた中国人民銀行による中国人民元の対ドル基準値ですが、1ドル=7.0883元に設定したものの、市場予想からは乖離しなかったこともあり、動意は限定的になりました。また、日銀は国債買い入れオペを2営業日連続で減額しています。

今日の予定

本日は、トルコ・第2四半期GDP、英・8月製造業PMIなどの経済指標が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。