先週9月13日は中秋の名月でしたね。「月々に 月見るときは 多けれど 月見る月は この月の月」夜空を眺めながら『小倉百人一首』の句を思い出した人もいたことでしょう。

夜空といえば、私にはもう一つ思い出があります。それは「ハレー彗星」です。ハレー彗星は約75年周期で地球に接近します。前回の接近は1986年で私は20代の若者でしたが、当時はメディアでハレー彗星を大きく取り上げるなど大変な話題となりました。次回の接近は2061年となりますが「生命表」によると私がハレー彗星を再び見ることは難しいかも知れません。

ところで、適切な保険料を算出するのに欠かせない「生命表」はハレー彗星と深い関係があります。実はハレー彗星を発見したイギリスの天文学者エドモンド・ハレーは「生命表」を考案した数学者でもあるのです。

「生命表」は私たちの平均余命、つまり「人生で残された時間」を計る物差しとなります。今回は超長期的な資金計画を立てるうえでも欠かせない「生命表」と「人生で残された時間」について解説します。

「生命表」を考案したエドモンド・ハレー

保険,選び方
(画像=shutterstock, ZUU online)

生命保険の「仕組み」は、中世のヨーロッパですでに存在していました。当時は同業者仲間である「ギルド」でメンバーの誰かが亡くなったり、病気になったときに備えた互助会のような役割を果たしていたそうです。また、イギリスにおいてはセントポール寺院の牧師たちが組合を作り、自分たちに万が一のことがあったときに備えて、毎月保険金を集めていました。

ただ、上記の「仕組み」には大きな問題がありました。ギルドや組合のメンバーの年齢が上がると当然「死亡率」も上昇するのですが、支払う金額が同じでは年齢の高い人と若い人で不公平になるという問題があったのです。こうした問題に不満を抱くメンバーの離脱により、解散するケースも珍しくなかったと言います。

この問題を解決した人が、エドモンド・ハレーです。ハレーは実際の死亡率の統計データに基づいて「生命表」を考案しました。ハレーの「生命表」で適切な保険料が計算出来るようになり、年齢の高い人と若い人の不公平も解消されました。また、「生命表」は保険会社の倒産リスクを大きく軽減することとなりました。

その後、イギリスの数学者ジェームズ・ドドソンがハレーの「生命表」をもとに「平準保険料方式」を考案しました。ドドソンの「平準保険料方式」は近代生命保険の基礎的な理論を確立することとなります。

あなたの「人生で残された時間」はどれくらい?