激務なコンサルタントでありながら、不動産投資家として本業の年収の何倍もの金額を稼ぎ、〝億超え〟の資産を築く。連載『資産〝億超え〟の兼業投資家が教える「時間レバレッジ」のかけ方』では、石川貴康さんがいかにして時間を生み出し、資産を増やし続けているのかを実例を交えて紹介してもらう。
第8回のテーマは「『時間の缶詰』発想を持つ」である。時間の缶詰とは、時間があるときに先に作業をして、忙しいときに利用して「時間を貯蔵すること」を指す。変動する時間価値を考慮して、高いときに使わず、安いときに使って貯めることで、どれくらい有益なタイムマネジメントができるのだろうか。
閉じ込めておいた時間を後で使う方法がある?
時間は常に流れていくもので、とどめることができない。一般にはそう思われている。しかし、時間をモノに変えることで時間を閉じ込め、その時間を後に使えるという方法があったらどうだろうか。
これは「時間の缶詰」を作るということだ。時間の缶詰というと、すごいことのように聞こえるが、実は大したことはない。少しカッコつけて言っているだけなのだ。
時間の缶詰という考え方は、製造業の生産、特に季節性を考慮した先行生産(貯めづくり)などにおいて、非常に重要なものとして捉えられている。業界外の人に向けて専門用語を使うと難しいので、本稿ではあえて、時間の缶詰という比喩を使ってみる。
かえってわかりにくくなったら申し訳ないが、詩的な言葉として気に入っているので、ちょっと我慢して読んでみてほしい。
時間の缶詰を作る=「作り置き」
時間の缶詰を作るという考え方は単純だ。時間があるときに先に作業をしておいて、忙しいときに利用することをいう。
ちょうど時間がないときに、前やっておいたことを利用して、あたかも缶詰をポンと開けたかのように、一気に完成品を手に入れ、忙しい時間を節約するということなのだ。
桃の缶詰は皮が剥いてあるし、魚の缶詰も調理済みなので、開ければすぐに食べられる。本物の缶詰だけでなく、さまざまな分野で一気に時間を短縮してくれるものを時間の缶詰だと考えればいい。
具体例をいくつか挙げてみよう。我が家でやっているのは、ご飯の「作り置き」。一度に何合もご飯を炊き、タッパーに小分けして冷凍しておくのだ。時間のない朝や疲れた夜は、冷凍してあるご飯をレンジで温めれば、すぐに食べられる。炊くと45分ほどかかるが、レンジでは3分も要らない。一気に時間短縮されるのだ。
こうした例はたくさんある。料理における作り置きは、すべて時間の缶詰といえる。作り置きを入れているタッパーを開けたり、レンジで温めたりすれば、すぐに食事の準備ができるわけだ。時間を使わず支度ができて効率的だ。
他にも工夫していることがある。たとえば、コーヒーは時間があるときに挽いておいて、すぐに入れられるようにしておく(もちろん挽きたての方がおいしいのだが)。ハンバーグは大量に捏ねて冷凍し、必要なときに少しずつ使う。
時間の缶詰とは、時間のあるときに作業をしておき、時間がないときに使うことで、過去に使った時間を“今”活用するのである。
製造業で売り逃しを防止するシンプルな方法
製造業の世界では、こうした作り置きを先行生産という。季節変動の大きい製品を作っている製造業では、繁忙期に時間が足りなくなると、生産が間に合わなくなり、売り逃しをする可能性が出てきてしまう。
そこで、先の需要を読んで、製造能力に余裕がある時期から先行して作って積み増しておくのだ。花見シーズン前のプラスチックトレイやクリスマス商戦前のプレゼント品、夏のアイス、バレンタインデー用のチョコなどがそれにあたる。
先に作って在庫にしておけば、欲しいタイミングですぐに出荷できる。あまり時間を使わず需要対応ができ、売り逃しをすることがない。まさに、必要なときに、ゼロ時間でモノができる。それこそが、時間の缶詰を開けた瞬間だ。
「時間の缶詰」重要な視点1:時間の価値変動を活用する
ここからは時間の缶詰を実践するために、失念してはいけない重要な視点を4点紹介する。