モトリーフール米国本社、2019年9月9日投稿記事より
ディスカウントストア大手のターゲット(NYSE:TGT)は、中国への制裁関税関連で厳しい態度を取り、中国製品の納入業者に対して、関税上昇分のコスト転嫁を許容しないと通告しました。
実際、ターゲットはこの厳しいスタンスをどれほど維持できるのでしょうか?
米中貿易戦争の激化により、トランプ政権は制裁関税「第4弾」を9月1日に発動し、10%から15%の追加関税が約1120億ドル分の中国製品に課されました。
ターゲットが扱っている家電や衣料品、シューズなど多くの商品が約3200品目の追加関税対象に含まれます。
今後も、追加関税対象品目が増えていきます。
ターゲットCMO(最高マーケティング責任者)のマーク・トリットンは納入業者への通告の中で、「ターゲットは、中国からの輸入製品の関税に関連した新たなコスト増を受け入れません。
消費者に関税引き上げ分を転嫁しないように、皆さんが緊急対応計画を立ててください」と言及しました。
メディアはターゲットの姿勢を支持しているようですが、実際にはそれはどれほど可能なのでしょうか?
同社にとって中国は最大の輸入品供給国であるため、納入業者に関税引き上げ分を全て吸収しろというのは困難であり、ターゲットは交渉戦術の一つとして何らかの対応を迫っていると考えられます。
ウォルマートと同様、ターゲットも納入業者に対して価格などの諸条件を強力に支配しています。
ウォルマートは納入業者に対して最大限の価格引き下げを要求しますが、ターゲットも、1800店舗と年間売上高740億ドルを背景に、納入業者に対して容赦ない価格引き下げを求めます。
貿易戦争の初期では、追加関税の影響を最小限に食い止める手立てが幾つかありました。
たとえば、追加関税適用前に通常より多くの製品を輸入し、関連コストを関係者で折半するなどでした。
しかし、このように米中貿易戦争の影響が広範囲にわたってくると、ウォルマートですら値上げを許容する状況になりつつあります。
ターゲットの納入業者への通告は、実際には柔軟性があるとみられ、ターゲットがある程度譲歩する可能性もあります。
そうなると、結局消費者が値上げ分を甘受せざるを得なくなるのでしょう。(提供: The Motley Fool Japan)
元記事の筆者Rich Dupreyは、記事で言及されている株式を保有していません。モトリーフール社は、記事で言及されている株式を保有していません。