日経平均、TOPIX(東証株価指数)、NYダウ……インデックスファンドは、世に多数存在するあらゆる“指数”をベンチマークとし、その指数と連動した結果が期待される商品だ。該当の指数が2%上昇すれば、そのインデックスファンドの基準価額も2%上昇するし、逆に2%下落すれば、基準価額も2%下落するものと考えられる。しかし、現実にはベンチマークと完全には連動しないことがある。なぜベンチマークとの乖離(かいり)が生じるのだろうか。連動しているかどうかは、どう評価すればいいのだろうか。

ベンチマークへの連動が求められる理由

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(画像=BAIVECTOR/Shutterstock.com)

ベンチマークの上下にかかわらず、インデックスファンドの基準価額が上昇してくれさえすれば、結果的に問題ないと感じるかもしれない。

しかし、インデックスファンドは、ベンチマークに連動しなければ役割を果たしているとは言えない。つまり下がるべき時は下がり、上がるべき時に値上がりしてくれなければ困る。

インデックスファンドで積立投資するとしよう。積立投資の特徴の一つは、価格が低い時にたくさん購入し価格が高い時に少なく購入する「ドルコスト平均法」を生かせることだ。もしベンチマーク指数が大きく下落したにもかかわらず、インデックスファンドの基準価額が十分に下落しなかったり上昇したりすれば、期待どおりの低い価格で購入できなくなる。

このように、投資家はインデックスファンドに、ベンチマーク指数と連動した値動きを期待し投資するものだ。

だが実際にはインデックスファンドの変動がベンチマークと乖離してしまうケースがどうしても発生する。それはどういう理由によるものなのだろうか。

理由1 運用コストがかかる

ベンチマーク指数と乖離が生じる原因の一つは「運用コスト」だ。仮に完全にベンチマークに連動する運用ができたとしても、インデックスファンドには信託報酬、売買委託手数料、監査費用といった費用がかかる。これらの費用は、信託財産から差し引かれ、基準価額に反映されるため、運用パフォーマンスにマイナスの影響与え、ベンチマークと乖離する原因の一つとなる。

交付運用報告書の「1万口当たりの費用明細」の項目を見ると、当該ファンドに要した運用コストの実績値を知ることができるが、運用時のコストの大半は通常、信託報酬が占めている。それゆえ、信託報酬が運用パフォーマンスに与える影響は大きい。

つまり、同じベンチマークに連動するインデックスファンドであれば、信託報酬が低ければ低いほど指数との乖離が小さいことを期待できる。

理由2 指数の構成銘柄すべてに投資していないことがある

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