投資信託の種類は非常に多い。実在の本数ではなく、運用対象や運用手法の種類の話で考えた場合でもだ。
まず単純に「株式型投信と債券型投信」という分類があり、それぞれに「国内型、外国型そしてグローバル型」とあり、また運用手法の大分類として「アクティブ運用型とパッシブ運用型」とある。これだけでも「2×3×2」で12種類もあることがわかる。
募集形態で見ると、広くあまねく投資家を募集する「公募型」と49人の投資家までに募集を限定した「私募型」があり、いつでも購入可能な「追加型」と募集期間だけ購入可能な「単位型」とがある。中にはその中庸をとった「限定追加型」などと呼ばれる形態もある。この分だけで「2×3」の6種類となるので、上段と合わせると「12種類×6種類」で72種類ということになる。
運用対象や運用方法はより細分化されるので、実際にはもっと種類は多くなるから、より複雑になる。
つまり「何か投資信託でも買おうかな?」と考えたら、実はまずこの72種類の中から自分の好みやニーズに適ったものを選び、更に運用会社や販売会社などの細部を決めて自分に最適なものを選ばないとならない。こう言われるともう面倒臭くなって「やっぱり止めた」と思われた読者も多いと思う。
逆に、特定のどれか1本か2本の投資信託を金融機関に薦められたら「どうしてこの金融機関(担当者)は、これ(ら)がお薦めなのだろうか?」という理由を考える必要がある。本当に貴方のニーズに適っているのかどうか、そして問い質す。
ゴルフが上手な人に聞いたことがあるが、上手なコース攻略法は、コースの設計者の気持ちになって「このホールでゴルファーに何を味わって貰おうと考えたか?」ということを考えると、トリッキーに思えるホールでも上手に攻められるという。それと相通じるところがあるのが投資信託だ。ならば、どのように各投資信託には設計者が関わっていくのか、それを知っておくことは極めて有益だ。闇雲に72種類から選ぶ必要も無くなれば、勧められた1、2本について鋭い質問でより深く理解することも出来るようになるだろう。
投資信託の商品開発はどのようにキックオフされるか?
基本的にファンドマネージャーは商品開発に際し、「お客様(最終投資家)により良いパフォーマンス(カスタマー・エクスペリエンス)を提供したい」と考えて新商品を考える。多くの運用会社に「新商品検討会議」もしくは「新商品検討委員会」などと銘打った、経営陣や営業サイド、運用サイド、リーガル・サイドなどのメンバーで構成される会議があり、これは通常定期的(毎月など)に開催される。
この会議で音頭を取るのは営業サイドであることが多い。「売れる商品」(残高が伸びる投信)がどんどん作れるかどうかが、運用会社の生命線だからだ。