9月に入り、株式市場が反発に転じました。米中通商協議での妥協成立に向け期待が高まっていることもありますが、株安がある意味で行き過ぎとなり、それに対する反動高が表面化した側面もありそうです。

すなわち、値上がり益を狙うだけではなく、株主優待や配当も考慮した場合、割安感が強く感じられる「お値打ち銘柄」を注目する動きは基本的に、今後も続くと考えられます。そうした中、9月末に向けて株主優待や配当を受け取る権利を獲得する動きも佳境を迎え、権利付最終日はいよいよ9/26(木)に接近(例外的に権利付最終日が異なる銘柄も存在するため要注意)してきました。

今回の日本株投資戦略では、こうした観点から、一定水準以上の株主優待と好配当が期待できる10銘柄をスクリーニングにより抽出してみました。最低売買金額が高くならないように条件を付けたため、投資初心者の方でも心理的負担が小さく、分散投資もしやすい銘柄群になっていると考えられます。

株式市場反発!~日株戦略特選「好優待・好配当銘柄」はコレ!?

日本株投資戦略,上方修正期待銘柄
(画像=PIXTA)

株式市場では、9月末に向けて株主優待や配当を受け取る権利を獲得する動きも佳境を迎えています。これらの銘柄の権利付最終日は原則的に9/26(木)で、それに向けた駆け込み的な動きも増えつつあります。さらに、株式市場全般に反発局面を迎えていますが、株安がある意味で行き過ぎとなり、それに対する反動高が表面化したという側面もあるため、株主優待や配当も考慮した場合、割安感が強く感じられる「お値打ち銘柄」への注目は今後も続くと考えられます。

今回の日本株投資戦略では、こうした観点から、一定水準以上の株主優待と好配当が期待できる10銘柄をスクリーニングにより抽出してみました。スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)東証1部上場銘柄であること。
(2)2019年9月末に配当を実施する予想(会社予想)になっている銘柄であること。
(3)年間(今年度)の予想配当利回りが東証1部平均(9/12現在2.07%)を上回っている銘柄であること。
(4)2019年9月末に株主優待を実施し、その現金換算後の価値が1,000円以上となる銘柄であること、またはそうした優待を選択できる銘柄であること。
(5)株主優待の権利を獲得するのに必要な最低株数での売買金額が20万円未満(諸コストは考慮しない)であること。
(6)株主優待を獲得するにあたって、一定期間の保有が義務付けられていない銘柄であること。
(7)2019年4~6月期の営業利益が黒字であること。

上記の全条件を満たす銘柄について、SBI証券株主優待検索ページにおける「閲覧回数」の多い順に10銘柄を並べたものが表1となります。すなわち、表1の銘柄は、9月末に株主優待を実施する予定の427社のうち、投資家の関心の深い上位銘柄でもあります。

「好配当・好優待」が期待できる銘柄とはどういう銘柄でしょうか。今回のスクリーニングでは、(3)にあるように、年間(今年度)の予想配当利回りが東証1部平均(9/12現在2.07%)を上回っている銘柄であることを「好配当」の条件としています。また、(4)にあるように、原則として、最低必要単位で取得できる株主優待の現金換算後の価値が1,000円以上となる銘柄であることを「好優待」の条件としています。これらの条件はあくまで、ひとつの考え方に過ぎない点をご理解ください。

予想配当利回りはあくまで、年間に予想されているすべての配当を受け取った場合の、9/13(金)終値に対する利回りです。9月末予想の配当を受け取っただけでは、当該利回りを確保できませんのでご注意ください。

最低売買単位はすべて100株です。ただ、キューブシステム(2335)のみ、株主優待の権利を確保するために必要な売買単位が200株になっています。それでも、株主優待の権利を獲得するのに必要な最低株数(200株)での売買金額は16万円弱であり、20万円未満の条件を満たしています。(5)にあるように、株主優待の権利を獲得するのに必要な最低株数での売買金額が20万円未満にされているため、複数の銘柄への分散投資が容易に行えるというメリットがあります。その分、業績悪化による株価下落というリスクについても、分散することが可能になっています。このため、業績面でのスクリーニングは(7)程度と、やや軽めになっています。「日本株投資戦略」では、「好優待・好配当銘柄」への投資の際、可能な限り複数銘柄でパッケージ投資することをご提案したいと思います。

表1 日株戦略特選「好優待・好配当銘柄」はコレ!?
(画像=SBI証券)

表1 日株戦略特選「好優待・好配当銘柄」はコレ!?
コード / 銘柄 / 株価 (9/13) / 予想配当 利回り / 1株当たり 配当9月末 / 1株当たり 配当通期 / 最低必要単位 優待内容概要
<2335> / キューブシステム / 796 / 2.26% / 8.0 / 18.0 / ギフトカード1,000円
<6339> / 新東工業 / 966 / 2.48% / 12.0 / 24.0 / クオカード1,000円
<1909> / 日本ドライケミカル / 1,125 / 2.67% / 12.5 / 30.0 / 記載の10点より選択
<3167> / TOKAIホールディングス / 1,022 / 2.74% / 14.0 / 28.0 / 記載の6点より選択
<3289> / 東急不動産ホールディングス / 673 / 2.38% / 8.0 / 16.0 / 宿泊優待券他
<8591> / オリックス※ / 1,706.5 / 4.68% / 35.0 / 79.9 / 株主カード
<8098> / 稲畑産業 / 1,348 / 3.56% / 20.0 / 48.0 / クオカード1,000円
<4671> / ファルコホールディングス / 1,666 / 2.76% / 23.0 / 46.0 / クオカード1,000円
<9728> / 日本管財 / 1,878 / 2.66% / 25.0 / 50.0 / 商品2,000円相当
<8798> / アドバンスクリエイト(9) / 1,903 / 2.63% / 25.0 / 50.0 / 商品2,500円相当他

※Bloombergデータ、および会社公表データをもとにSBI証券が作成。アドバンスクリエイト(8798)は9月決算銘柄であり、9月末の1株当たり配当は期末配当(予想)を指しています。その他の銘柄は3月決算銘柄で、9月末の1株当たり配当は中間配当(予想)を指しています。なお、配当予想は会社予想ですが、オリックスのみ、期末配当予想が未定(期中に改めて発表の見込み)のため、通期の予想1株当たり配当について、Bloomberg集計の市場コンセンサスを用いています。なお、「最低必要単位優待内容概要」は、株主優待の権利を獲得するために必要な最低株数の意味で、キューブシステム(2335)は200株ですが、他の銘柄はすべて100株です。記載の優待内容概要は、株主優待の内容について、その概要を示すもので、詳細を正確に示しているものではありません。詳細は当社Webサイトおよび各社Webサイトで必ずご確認ください。

掲載銘柄の株主優待のポイント

以下に表1で掲載した銘柄について、株主優待等のポイントをご紹介します。

★キューブシステム(2335)

9/26(木)に200株以上を保有する投資家に対し、JCBギフトカードが1,000円相当贈呈されます。400株以上では2,000円相当、1,000株以上では3,000円相当が贈呈されます。

図1 キューブシステム(2335)・日足

図1 キューブシステム(2335)・日足
(画像=当社チャートツールを用いてSBI証券が作成)

★新東工業(6339)

9/26(木)に100株以上を保有する投資家に対し、クオカードが1,000円相当贈呈されます。1,000株以上では2,000円相当贈呈されます。2020年以降は、1年以上継続保有の株主のみに贈呈されるという内容に変更が予定されています。また、3年以上継続保有の場合1,000円相当が追加になります。

★日本ドライケミカル(1909)

9/26(木)に100株以上を保有する投資家は、次のうちから1点選び、株主優待として贈呈を受けることができます。

(1)スーパールームガード(簡易消火器)
(2)携帯用簡易防災セット
(3)保存食5年サポートセット
(4)オリジナル缶deボローニャ(食料備蓄品等)
(5)LEDパームラジオライト
(6)マルチツール 14
(7)マイレットmini-10
(8)おふろですよ(超大判ぬれタオル)
(9)こども商品券(1,000円分)
(10)自社オリジナルクオカード1,000円分

★TOKAIホールディングス(3167)

9/26(木)に100株以上を保有する投資家は、次のうちから1点選び、株主優待として贈呈を受けることができます。また、自社グループ結婚式場婚礼10%割引券や、自社グループ食事20%割引券12枚等も付与されます。なお、300株以上の保有、5,000株以上の保有でより充実した株主優待が贈呈されます。なお、3月末も株主優待が予想されます。

(1)天然水(500ミリリットル入)12本
(2)天然水宅配サービス(12リットル入)1本
(3)クオカード500円相当
(4)自社グループ食事券1,000円相当
(5)自社グループ会員サービスポイント1,000ポイント付与
(6)自社モバイルデータ通信サービス利用料割引2,100円相当

★東急不動産ホールディングス(3289)

9/26(木)に100株以上を保有する投資家に以下の株主優待が贈呈されます。

(1)「ホテルハーヴェスト」等で利用可能なリゾートホテル宿泊優待券1枚
(2)「東急ステイ」他で利用可能な宿泊優待共通券2枚
(3)ゴルフ場等で利用可能な「スポーツ優待共通券」

なお、保有株数が500株以上、1,000株以上、5,000株以上と増えるに従い、贈呈される株主優待が増量されます。また、3月にも同じ優待に加え、買物優待カード等の追加的株主優待が贈呈されます。リゾートホテルなどは2人で利用した場合、割引金額が何万円単位になる場合もある上、当社の株主優待は種類も多く、すべて活用した場合は、相当額のお得度になるとみられます。なお、3月末も株主優待が予想され、より充実した内容になっています。

図2 東急不動産ホールディングス(3289)・日足

図2 東急不動産ホールディングス(3289)・日足
(画像=当社チャートツールを用いてSBI証券が作成)

★オリックス(8591)

9/26(木)に100株以上を保有する投資家に以下のサービス等を受けられる「株主カード」が贈呈されます。

(1)全国の指定された宿泊施設を割引価格で利用できます。
(2)京都水族館、すみだ水族館などの入場料金が10%割引されます。
(3)子会社が運営する有料老人ホーム等の入居時費用を30~50万円割引します。
(4)プロ野球公式戦ホームゲームを優待価格で観覧できます。
(5)人間ドック各種コースを優待価格で受けられます。
(6)レンタカー基本料金30%引き他

上記したすべての株主優待を享受することは現実問題として難しいかもしれません。ご参考までに、上記(5)で「総合がんPETドック」(男性)は通常価格248,400円が優待価格では176,040円、同(女性)は通常価格280,800円が優待価格では219,240円(資料作成時)です。そろそろ、ご自身の体を徹底的に検査したい方であれば、まず株主(100株で16万円弱)になることも一考かもしれません。3月末も株主優待が予想され、より充実した内容になっています。

なお、会社側は9月末に1株当たり35円の配当を予想しています。期末配当は期中に改めて発表が見込まれますが、現時点では未定です。配当性向30%がメドとなっているようです。市場コンセンサスでは通期で79.9円の配当が予想されています。

図3 オリックス(8591)・日足

図3 オリックス(8591)・日足
(画像=当社チャートツールを用いてSBI証券が作成)

★稲畑産業(8098)

9/26(木)に100株以上を保有する投資家に対し、クオカードが1,000円相当贈呈されます。3年以上継続保有の場合2,000円相当が贈呈されます。

★ファルコホールディングス(4671)

9/26(木)に100株以上を保有する投資家に対し、クオカードが1,000円相当贈呈されます。なお、3月末も株主優待が予想されます。

★日本管財(9728)

9/26(木)に100株以上を保有する投資家に対し、商品2,000円相当が贈呈されます。ギフトカタログより1点選択することになります。3年以上継続保有の場合3,000円相当の商品になります。なお、3月末も株主優待が予想されます。

★アドバンスクリエイト(8798)

9/26(木)に100株以上を保有する投資家に対し、商品2,500円相当が贈呈されます。ギフトカタログより1点選択することになります。さらに、福利厚生サービス(「保険市場Club Off」)利用権が贈呈されます。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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