小学校でのプログラミング教育の必修化を2020年度に控え、プログラミング教室が急増しています。異業種からの参入も多くなり、大学入試にも深く関わるため、関心が高くなってきています。しかし、新分野ということで講師の力量不足などの課題もあり、教室選びには慎重さも求められます。なぜプログラミングがここまで注目されるようになったのでしょうか。
プログラミングは必要?
現在、全ての仕事にパソコンやスマートフォンは、必要不可欠です。2045年には、AI(人口知能)が人間の知識を超える「シンギュラリティ」が起こるといわれており、新たな展開が生まれるかもしれません。そのころ、人間の脳がインターネットにつながる時代が到来すると提唱する人もいます。シンギュラリティ後の世界では、ヒトではなくAIの領域で科学技術が進展するため、従来の進歩予測が当てはまらなくなるという説もあり、現代技術の飛躍的進化を考えれば、シンギュラリティは十分現実に起こり得るといえます。
実際に、文部科学省のプログラミング教育に関する有識者会議は「AIがさまざまな判断をし、物の働きがインターネット経由で制御される時代の到来が、社会を大きく変えると予測しており、子どもたちが自信を持って人生を切り拓き、社会を創り出していけるよう、能力の育成が求められる」と指摘し、プログラミング教育強化の背景を説明しています。
プログラミング教育の必修化について、若いほど学びの吸収も早いとの考え方もあるため、賛成する両親も多いのではないでしょうか。小学校のパソコン導入が進み、タブレット、スマートフォンなどのIT機器を使いこなし、自然と操作を覚えている子どもたちも増えています。
また、モノの「非物理化」も進んでいます。以前であれば、人はカセットやCDのオーディオプレーヤー、本、カメラ、電話、パソコン、テレビ、現金、腕時計など全ての機器を持って外出していましたが、デジタル化が進み、今やスマートフォン1つで事が足りるようになってきました。クルマの自動運転技術も進み、2020年代には、大手自動車メーカーが自動運転車を量産すると発表しています。
今後ドローンによる個人間の自動配送や農業や建築分野での活用など、乗り物や輸送、各産業における活動の自動化がさらに進化することでしょう。政府は、工場の機械の稼働状況をはじめ交通、気象、個人の健康状況までさまざまな情報がデータ化され、それらをネットワークでつなげてまとめ、これを解析・利用することで、新たな付加価値を生む「第4次産業革命」への対応を重要な施策として報告しています。
これらの産業をインターネット、ソフトウェアやAIを使って、人類のさらなる進化を図っていけるのがプログラマーという職業です。今後のコアとなる人材といえるでしょう。プログラマー人材獲得競争も激化し、高年収を提示する企業も増えているようです。
そういった時代背景から、プログラミング教室が増えるとともに、子どもを教室に入れる親が急増しているのです。GMOメディアと船井総合研究所の調査によると、プログラミング教室の数は、2013年は全国で約750ヵ所でしたが、2018年には4,457ヵ所に増え、2023年には1万1,127ヵ所にまでその数が伸びるとしています。
市場規模も膨らんでおり、2019年はまだ114億円にとどまるものの、2030年には1,000億円にまで伸びる可能性があると予測しています。模型のタミヤ、家電量販店のエディオンやヤマダ電機、JR東日本などの異業種大手もプログラミング教室に参入しています。
プログラミング教育推進における課題
2020年度からプログラミング教育が必修となり、教室が増えていくと、プログラミング知識は当たり前に持っているものという新たな時代の到来を予感させます。プログラミングでどのような世界をつくりたいか。そのような疑問をいつも自身に投げ掛けるような子どもたちが、新たな世界を拓く気がします。
今後は、「分野でプログラミング技術を応用し、世の中の発展に尽くしたい」と考え抜いた教室が、子どもの新たな道筋をつけるかもしれません。ただし、現状では、教室の増加に講師の数がついていかない、また質を担保できないなど、多くの課題があり、解決策が求められます。(提供:JPRIME)
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