2020年東京五輪・パラリンピックの開幕まで1年となった2019年7月下旬、五輪聖火台のデザインのベースとなるコンセプトが明らかになりました。聖火台は「太陽」をイメージしたものとなり、球体とする方向で検討されています。聖火の燃料には五輪史上初めて水素を利用し、「復興五輪」の象徴とします。

コンセプトは太陽

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(画像=Mr Doomits/Shutterstock.com)

聖火台のコンセプトを太陽とする構想には、選手や震災の被災者を勇気づけ、世界平和への願いや、「日出ずる国、日本」の歴史を表現する狙いがあるとのことです。1970年大阪万博のシンボルで、芸術家の岡本太郎氏がデザインした「太陽の塔」から着想を得たともいわれています。聖火の燃料には、プロパンガスの代わりに次世代代替エネルギーの水素が使用される見込みです。

また東日本大震災の被災地である福島県浪江町に建設される新しい工場で製造され、「復興五輪」を象徴するものになるとのこと。水素は燃焼すると酸素と結びついて水になります。無尽蔵に存在し、燃焼時に地球温暖化の原因とされる二酸化炭素を排出しないことから「究極のクリーンエネルギー」とも呼ばれ、資源の乏しい日本にとって新たなエネルギー源として期待されているのです。

五輪史上初めて水素を聖火の燃料とすることで、水素で動く燃料電池車などの日本の先進技術や、次世代エネルギーの利用を世界にアピールする狙いがあります。球体を形作る金属板は可動式で、回転し、点火後に開いて内部から聖火が現れる仕組みがイメージされています。水素の炎は通常無色ですが、さまざまな色の炎を作り出す技術の開発が進んでいます。

聖火台は陸上などの競技が行われる期間中、メインスタジアムの新国立競技場内に常設できないため、2台製作され、1台は競技場に式典用として設置。同じデザインのもう1台を大会期間用に東京の台場地区にある「夢の大橋」に置く方針とされています。

過去の聖火台

1964年東京五輪の聖火台は戦後復興のシンボルとなりましたが、東日本大震災からの復興のシンボルとしての役割も果たしています。この聖火台は、旧国立競技場の解体工事に伴い、震災の復興支援として被災地の宮城県石巻市に2019年5月まで貸し出されていました。その後、岩手県、福島県、製造元のある埼玉県川口市で巡回展示され、最終的に新国立競技場の正面入り口付近に設置される予定とのことです。

鋳物職人の親子が命懸けで製作したとして語り継がれており、2020年大会で再利用する案も出されていました。2016年リオ五輪の聖火台は、開会式のテーマ「環境保護」に即し、化石燃料の使用や温室効果ガスの排出による地球温暖化を抑制しようとのメッセージを込めた、小さな炎の出る設計でした。金属製のらせんが回転し、太陽などが表現。2018年平昌五輪では、丸い朝鮮の白磁の壺をイメージしたデザインでした。

開会式、聖火リレー

聖火台のデザインを含む開会式、閉会式の総合演出は、狂言師の野村萬斎さんのほか、アニメ映画『君の名は。」を手がけた映画プロデューサーの川村元気さん、歌手の椎名林檎さんなど8人による総合プランニングチームが担当しています。大会組織委員会が大会の理念とする「平和」「共生」「復興」「未来」「日本・東京」などのテーマをベースに検討を重ねてきました。

聖火の点火式で聖火台に火をつける最終聖火ランナーや点火の方法などの情報は極秘とされていますが、演出チームの意向をくみながら組織委が決定することになります。聖火は2020年3月12日にギリシャで採火し、日本に空輸されます。アテネから到着した聖火は、国内でのリレーに先立って3月20日から25日までの間、東日本大震災の被災3県で「復興の火」として展示される予定です。

リレーは福島県でスタートし121日間かけて全国を回り、都内でリレーが行われた後、開会式当日のメイン会場で聖火台に火がともされます。(提供:JPRIME


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