ドトールの業績が低迷している。客数の減少も深刻だ。庶民派のコーヒーショップとして人気のドトールだが、なぜ今苦しんでいるのだろうか。最新決算で明らかにされた数字を紐解きながら、消費者の志向の変化やコーヒー業界のライバルたちの最新の動きなども含め、考察していこう。

ドトールの売上高2.2%減、純利益は5%減

ドトール,業績
(画像=StreetVJ/Shutterstock.com)

ドトールコーヒーを展開するドトール・日レスホールディングスが発表した2020年2月期の第1四半期(2019年3~5月)決算によれば、ドトールコーヒー単体の売上高は前年同期比2.2%減の196億4,400万円と不調だった。純利益も同5.0%減の8億5,100万円に留まっている。

ドトールコーヒーショップ単体の店舗数は、ここ数年減少傾向にある。2018年2月時点で1,126店舗、2019年2月時点で1,113店舗と減少し、2019年5月時点ではさらに店舗数を減らして1,108店舗となった。

店舗数の減少は売上高の低迷を招き、業績の低迷に直結する。2019年2月期通期の決算発表では、既存店客数が2.1%減だったことが明らかになっている。ここ数年、客数の増減は1%以下で推移していたが、最近になって客離れが加速していることが分かる。

2020年2月期の第1四半期の決算で売上が不調だったのは、超大型連休となったゴールデンウイークの10連休なども影響しているとはいえ、同社としては何らかの対策が必要になるだろう。

ドトールの業績低迷の理由はコンビニコーヒーと顧客志向の変化?

ドトールコーヒーの業績が低迷している理由は、どこにあるのだろうか。

ドトールコーヒーショップでは、2020年2月期の第1四半期中に新商品のオリジナルフローズンドリンクなどがヒットし、ファン層の拡大につながった。さらに「ドトールバリューカード」の専用アプリでの運用も開始し、顧客の利便性も高まった。これらを見ると、ドトールの経営努力には問題はなさそうだ。

では、外部要因はどうだろうか。大手コンビニエンスストアの店頭で販売されている安価なコーヒーが台頭していることは、同社にとっては少なからず脅威だろう。また高級志向にシフトする消費者が増えていることで、既存客の志向が低価格帯と高価格帯に二極化している点も見過ごせない。

特にコンビニコーヒーは、有名カフェチェーンが展開していない地方においても手軽に購入できるという利便性から、ファン層が拡大しやすい。とはいえ、消費者がカフェに求めるものは、コーヒーの味や価格だけではなく店舗の雰囲気などもあり、スターバックスや椿屋珈琲店などはその例と言えるだろう。コンビニコーヒーにはない魅力の強化が、業績を復活させるカギとなりそうだ。

スタバ、タリーズ、コメダはそれぞれの戦略で増収

帝国データバンクが2018年8月に発表した「喫茶店・カフェ経営業者1180社の経営実態調査」によれば、日本国内におけるカフェチェーンの売上高(2017年)ランキングの1位はスターバックスで、2位以下はドトール、タリーズコーヒー、サンマルクカフェ、コメダと続いている。

スターバックスは2001年に現JASDAQに上場したが、2015年に上場廃止。しかし、未だにコーヒー業界では圧倒的な存在感を誇っている。世界でも数少ない高級コーヒーのみに特化した「スターバックスリザーブロースタリー」を2019年2月に中目黒で開業し、攻めの姿勢を保っている。また、タリーズコーヒーやコメダ珈琲はフランチャイズ事業が好調で、増収が続いている。

この状況の中、ドトールはどう戦っていくのだろうか。2020年2月期第1四半期決算の説明資料の中では、新商品開発を含めた商品力アップのほか、新業態開発などに力を入れていくことにも触れている。消費志向やビジネス環境の変化に今後ドトールがどう柔軟に対応していくのか、注目だ。

文・MONEY TIMES編集部/MONEY TIMES

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