前日については、週末に起きたサウジアラビアの石油施設が無人機によって攻撃を受けた影響が懸念されていたものの、サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は「同国の原油生産量は9月末までに攻撃前の水準に戻る」との見方を示し、一部報道では、サウジアラビアの原油生産は予想よりも早く通常状態に戻る見通しであり、2?3週間で完全に回復するとの見解が示されました。この一連の動きを受けて、WTI原油先物価格が6%超急落し、資源国通貨売りが強まりましたが、株式市場が原油相場の落ち着きを好感し、反発基調を強めたことから、資源国通貨売りも限定的な動きとなりました。

特徴的な動きとしては、ユーロが反発したことが挙げられます。ドイツ経済の悪化を決定づけ、ユーロ売りに拍車をかけた独・9月ZEW景況感調査(期待)が、-22.5と市場予想の-38.0から大きく改善し、前回の-44.1と比べても、景況感の改善が見られました。同経済指標がユーロ買い戻しのきっかけとなり、ユーロドルでは、1.1020ドル付近の水準から、NY時間では、一時1.10740ドルまで上値を拡大しています。

ただ、本日にFOMC政策金利発表があり、明日19日に日銀金融政策決定会合が予定されていることから、ポイントポイントでは動きがあったものの、総じて様子見地合いの強い一日となりました。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

本日の注目イベントであるFOMC政策金利発表が予定されており、市場予想では、25bpの利下げがほぼ確実視されています。パウエルFRB議長の定例会見でも、「景気拡大を維持するために適切に行動する」との発言を行い、年内でもう一回25bpの利下げを行うことがメインシナリオになっています。「景気サイクル中盤の調整」という位置付けを基本的には変更するとは考えづらいため、サプライズがあるとすれば、今回の利下げに加え、年内もう一回の利下げ以上に緩和を行う旨の発言があれば、マーケットはドル売りで反応しそうですが、メインシナリオ通りの内容であれば、マーケットへの影響は限定的なものになりそうです。

また、翌19日に予定されている日銀金融政策決定会合も注目の材料になりそうです。ここにきて、黒田日銀総裁が、マイナス金利の深堀りを示唆したことで、追加緩和への期待感が高まり円安要因へと傾きましたが、現状維持となった場合は、逆に円買いの動きが強まりそうです。先週の金曜から、日銀もブラックアウト期間に入っており、メディアから流れる情報は、それ以前に収集されたものになりますが、ここにきて、現状維持の見方が強まっていることが、よりマーケットの膠着化に寄与しているものと考えられます。FOMCにサプライズがないようであれば、明日の日銀金融政策決定会合までは、引き続き様子見姿勢が強まりそうです。

FOMCがシナリオ通りなら、結果的には緩やかなドル買いになると予測

FOMC、日銀金融政策決定会合を控え、様子見姿勢が強まっていますが、ドル円は108円台で底堅く推移していることから、ドル買い主導のマーケットから、円安主導のマーケットに傾きつつあると考えられます。25bpの利下げでは、一時的にドル円は下落しても、ドル売り基調が明確に強まるとは考えづらいため、107.90円のドル円ロングは、継続したいと思います。利食いは108.80円台を視野に入れ、損切りは、107.40円下抜けに設定します。

海外時間からの流れ

本日の東京時間に、日・8月通関ベース貿易収支が発表され、8月の貿易収支は1,363億円の赤字、対米貿易黒字は4,720億円となりました。ただ、来週9月25日に開催される日米首相会談で、「暫定合意」の署名がされると想定されているため、マーケットへの影響は限定的となりました。ドル円については、107.50円からは断続的な買いが観測され、108.30-50円からは断続的な売りが観測されていることから、FOMC、日銀金融政策決定会合などのトリガーがない限りは、この水準を抜けるのは難しそうです。

今日の予定

本日は、英・8月消費者物価指数/英・8月小売物価指数、ユーロ圏・8月消費者物価指数・確報値、米・8月住宅着工件数/米・8月建設許可件数、加・8月消費者物価指数、そして、FOMC政策金利発表が予定されています。要人発言としては、ビルロワドガロー・仏中銀総裁、パウエル・FRB議長の定例会見が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。