FRBは18日、今年2度目の利下げを決定した。フェデラルファンド(FF)金利の目標レンジを1.75-2.00%に引き下げた。

この利下げは織り込み済みであり、声明は予想よりタカ派的と評価されてドルが上昇した。

今回の決定では2人のFOMCメンバーが金利据え置きを主張した。また、パウエルFRB議長は今後の見通しについて多くは語ることはなかった。FRBは、労働市場や消費者支出はいまだ強く、米国の経済成長は適度であると評価している。

ドットプロットを参照すると、FOMCメンバー17人のうち、7人が年内に追加利下げ、5人が金利据え置き、5人が利上げが必要という見通しを示している。

パウエルFRB議長は、FRBは予め決まったコースはなく、FOMCごとに経済指標の結果を見極める必要があるとしている。パウエル議長は、景気が今以上後退するようであれば「追加利下げは必要になる可能性がある」とするが、FOMCメンバーは次第に積極的な政策を好まなくなってきている。また、CMEのFedWatchツールも同様今後の利下げ予想は65%以下まで低下している。

また、今週はFOMCの他に、日本銀行、スイス国立銀行、イングランド銀行による政策金利発表がある。これらの中央銀行は、今回の会合で金利の変更は予想されていない。日銀は19日の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和政策の現状維持を決めた。しかし、追加緩和は見送られたことによって現在ドル円は、FOMC後の上昇を打ち消して下落している。

スイスは世界的に見ても超低金利政策をとっているが、直近の欧州中央銀行(ECB)の量的緩和(QE)再開の動きによって、スイス国立銀行(SNB)に対する緩和圧力が高まっているだろう。しかし、ECBの大規模刺激策の発表の後、安全資産への流れの高まりは招かれておらず、SNBは現状の低金利を維持する必要があるだろう。また、経済指標では、インフレ圧力は増加し、8月製造業の堅調、第2四半期GDPの伸びは予想より鈍化という内容で、さほどひどいという訳ではない。SNBは2019年のインフレ率やGDPを下方修正してはいるが、経済ショックが起こらない限り、SNBは動くことはないだろう。

イングランド銀行(BoE)も、ブレクジットの見通しが立たない限り、金利を据え置くと見られている。 同行は混乱なくEU離脱する場合は、利上げの選択肢を残してはいる。しかし、10月末の離脱期限は迫っており、現在合意なき離脱のリスクは高まっている。7月では、BoEは2019年と2020年においてのGDPを下方修正し、インフレ率を上昇修正した。これには合意なき離脱は加味されておらず、2020年の頭までに金利を25ベーシスポイント下げることが前提となっている。また、カーニー英総裁は、合意なき離脱の可能性が高まっていることを認める上で、貿易戦争の影響は予想以上に英国経済に打撃を与えていることを述べている。その結果、同氏は、英国経済は潜在能力を下回り、投資は第3四半期にさらに減少すると予想している。前回の会合以降の経済指標では、改善よりも悪化がより多く見られた。小売売上高の伸びは鈍化し、インフレ圧力は緩和されている。一方で、賃金、サービス業・製造業PMIは上昇している。要因を多面的に考慮し、今回の政策金利の発表は英ポンドへの影響は限定的だと予想されている。(提供:Investing.comより)

著者:キャシー リアン