8月20日、日本フランチャイズチェーン協会が発表したコンビニエンスストア大手7社の7月の全店売上高は前年同月比0.6%減の9869億円と6年5ヵ月ぶりのマイナスに転じた。既存店売上高も前年同月比2.5%減で、2ヵ月連続の前年割れを記録している。長雨による低温が続き、猛暑を記録した昨年に比べアイスや飲料の販売が低迷したことが響いたと見られる。加えて、コンビニ業界は折からの人手不足や、時短営業の問題等で転機を迎えている可能性も指摘されている。
そうした中で注目されるのが、セブン-イレブンを運営するセブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイ) <3382> だ。同社の株価は今年4月から9月まで3500円〜3900円と6年ぶりの安値圏で推移していたが、先週9月17日に4164円の高値を付けるなど上放れの気配を見せている。果たして、セブン&アイは低迷を脱出することが出来るのだろうか? 詳しく見てみよう。
人手不足、24時間営業のビジネスに「限界」?
セブン&アイの株価が下げトレンドを描き始めたのは今年3月のことだった。きっかけは、2月に大阪のセブン-イレブン加盟店のオーナーが人手不足を理由に時短営業に踏み切ったことが指摘される。この出来事はテレビのワイドショー等でも大きく取り上げられ、深刻化するコンビニの人手不足を浮き彫りにするとともに、24時間営業で成長してきたコンビニのビジネスモデルの限界を暗示することとなった。
実際、セブン-イレブン本部は3月から深夜営業を短縮する実証実験を開始している。ちなみに、セブン&アイの2019年2月期の売上に占めるセブン-イレブンの比率は14%、同じく営業利益では58%を占めるコア事業である。それだけに時短営業となれば売上、営業利益ともに大きな打撃を受けることにもなりかねない……株式市場ではそんな不安が広がったようだ。
3月から下げトレンドを描き始めたセブン&アイの株価は6月4日には年初来安値となる3573円を付けている。今年1月7日の年初来高値5133円からの下落率は約30%で、2013年11月以来6年ぶりの安値だった。セブン-イレブンの既存店売上高は6月に前年同月比1.3%減、7月も同3.4%減とマイナス幅を拡大したほか、キャッシュレス決済の切り札として7月1日にスタートした「7pay(以下、セブンペイ)」が不正利用問題で打ち切りとなったことも投資家の失望を誘ったようだ。
それでなくとも今年7月は長雨による低温が続き、猛暑を記録した昨年に比べアイスや飲料の販売が低迷するなどマイナス要因が重なった。その結果、セブン&アイの株価は今年4月から9月まで3500円〜3900円と6年ぶりの安値圏で低迷を余儀なくされたのである。
そんな情勢に変化が見られたのは9月10日のことだった。セブン-イレブンが同日発表した8月の既存店売上高が前年同月比で0.1%増とわずかながらもプラスに転じたのだ。株式市場でもそれまでの悲観ムードが後退し、セブン&アイ株は9月17日に4164円まで回復、6月4日の年初来安値(3573円)からの上昇率は17%となった。
問題は先週17日にかけての上昇が一時的な戻りに過ぎないのか、それとも本格的な低迷脱出を意味するのかである。