アルトリア・グループは米バージニア州に本部を置く「たばこ」の製造・販売メーカーである。日本では聞きなれない社名かも知れないが、旧社名のフィリップ・モリス・カンパニーズならご存知の人も多いのではないだろうか。同社は2003年1月にフィリップ・モリス・カンパニーズからアルトリア・グループ(以下、アルトリア)に社名を変更、2008年3月にはアルトリアのたばこ事業国際部門としてフィリップ・モリス・インターナショナル(以下、フィリップ・モリス)をスピンオフしている。

先月下旬、そのアルトリアとフィリップ・モリスが再統合に向けた協議を進めていることが明らかとなった。ウォール街では時価総額で2000億ドル(約21兆1000億円)を超える企業の誕生に注目する一方、電子たばこの規制強化の影響を危惧する声も聞かれる。今回は米たばこ大手のアルトリアの話題を取り上げたい。

4~6月期は増収増益、値上げが寄与

アルトリア,株価
(画像=altria, ZUU online)

アルトリアの2019年4~6月期(第2四半期)決算は前年同期比で6.4%の増益だった。純利益は20億ドル、1株利益は1.07ドルで前年同期(純利益18億8000万ドル、1株利益0.99ドル)からそれぞれ増加している。調整後1株利益は1.10ドルで、調査会社ファクトセットがまとめたアナリスト予想と一致した。

売上高は5%増の66億2000万ドル。物品税を除いたベースでは6.4%増の51億9000万ドルとなり、アナリスト予想の50億9000万ドルを上回っている。有煙たばこの売上高は5.5%増、無煙たばこの売上高は4%増で、いずれも値上げが寄与する形となった。ただし、アルトリアは、通期の調整後1株利益見通しを4.15~4.27ドルに据え置いている。

上記の通り、足もとでは業績好調のアルトリアだが、ウォール街の市場関係者からは「先行きには暗雲が垂れ込めている」との声も聞かれる。消費者の電子たばこへの切り替えや、たばこ購入の法定年齢を21歳以上に引き上げる州の増加等を背景に米国内のたばこ販売の減速が想定されるためだ。実際、アルトリアは2019年の米たばこ業界全体の販売数量を5~6%減と見込んでいるほか、2023年までの年平均販売数量は4~6%減と予想している。

こうした逆風が想定される中、ウォール街で話題となったのがフィリップ・モリスとの再統合に向けた協議である。

時価総額21兆円の企業が誕生するか?