前日発表された独・9月製造業PMI(速報値)は市場予想44.0に対して41.4、独・9月サービス業PMI(速報値)についても、市場予想54.3に対して52.5という結果となりました。また、ユーロ圏PMIにおいても総じて悪化した内容になったことから、再び景気後退懸念が強まり、ユーロは軟調な動きとなりました。特に、対ドルでのユーロ売りが顕著になっており、1.10ドル付近までユーロ売りが加速しました。ドイツ経済は、2四半期連続でマイナス成長となるテクニカル・リセッションに陥ったとの指摘もあり、引き続きユーロの上値は重い展開が予想されます。
また、日米通商交渉については、複数のメディアが「首脳会談での署名見送り」「日米通商交渉は自動車関税の衝突で遅れる可能性がある」と報じる一方で、一部では「数日中に調印する見込み」と伝わるなど情報が錯綜しています。ただ、これまで周到に準備を進めてきた経緯を考えると、署名見送りというのは現実味に乏しく、結果的には事前報道にあるような内容での署名になるのではないでしょうか。
米国が為替条項を通商交渉に加えないことは稀有なことではありますが、麻生財務相が為替条項は含まれないとしていることもあり、表に出てくる情報としては為替条項は除かれていると考えていいかもしれません。実際には協議自体は行われていると思われますが、今回の通商交渉で為替に影響を与えるような内容は出てこないのではないでしょうか。
今後の見通し
ポンドの動きが、再び慌ただしくなってきています。英国が提出した離脱協定案の見直しに関する草案について、EUはアイルランド国境管理を巡るバックストップの問題解決にはならないと難色を示していると報じられています。一部報道(スカイニュース)が入手した欧州委員会の文書によると、英国の草案は、1)物理的な国境の設置が不可避、2)アイルランド全体の経済や南北協力の保護が困難、3)EU単一市場やアイルランドの立場の維持が不可能、としており、運用可能な解決策とは言えないと指摘した模様です。
バルニエ欧州連合(EU)首席交渉官は、「現時点で離脱協議が合意する根拠はない」と発言しているが、ジョンソン政権がブレグジットの交渉をまとめる意志があるのかが分からなくなっているとも指摘しています。ジョンソン政権は、合意を目指したが、EU側に却下されたという既成事実を作り、10月31日以後の延期をEU側から認めさせないような方向に導き、合意なき離脱へ持ち込もうとしているのではないかとの指摘もあり、議会が閉会している中でも、まだまだポンドからは目が離せない状況が続きそうです。
ここからもう一段円高になるには、材料不足か
一部の政治絡みの報道により、円高が強まった影響で107.90円のロングは107.40円にて損切りです。ただ、ここからさらに円高に振れるには材料が足りないと考えられるため、下押しした場面での押し目買いが有効だと考えられます。前日かっとラインの107.40円付近での押し目買い、108.50円付近を利食いポイントとして考え、106.90円下抜けで損切りです。
海外時間からの流れ
前週末から、複数の金融機関からRBAの利下げ前倒し観測が相次いでおり、豪ドルの上値が重くなっています。ほぼ据え置き予想であった次回の政策金利予想でも、25bpの利下げを予想するエコノミストが増えており、ほぼ次回会合での前倒し利下げがコンセンサスになりつつあります。状況次第では利下げを織り込む豪ドル売りが加速する場面がありそうなため、この点には注意が必要でしょうか。
今日の予定
本日は、独・9月IFO景況指数、米・9月CB消費者信頼感指数などの経済指標が予定されています。要人発言としては、ビルロワドガロー・仏中銀総裁、ロウ・豪中銀(RBA)総裁の講演が予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。