前日については、王毅中国外相が「中国は米国製品の購入拡大に前向き」との見解を示したことにより、米中通商協議進展期待が高まり、ドル円は一時107.956円まで上値を拡大する動きになりました。同発言を受けて、トランプ大統領は、中国との通商協議に関する合意が予想よりも早い時期になる可能性があると発言していていましたが、中国の商務省も米国と10月の通商協議について緊密に連絡を取り合っていると述べており、米中通商協議が徐々にリスクオンイベントとして認識されてくるかもしれません。

トランプ大統領の弾劾調査については、電話会談記録の隠蔽の可能性も指摘されていることで、問題の長期化が懸念されています。会話内容を公表したことにより、弾劾される可能性は低いと考えられましたが、隠蔽の可能性が指摘されていることで、疑惑が高まっています。現在の状況は、トランプ大統領が2020年の大統領選を控えた中で、ウクライナのゼレンスキー大統領に圧力を加えたのではないかという疑惑を巡り、下院の情報特別委員会は、当局者による内部告発文書を公表しています。それによれば、トランプ大統領がウクライナを米大統領選に介入させようとしたと指摘しており、ウォーターゲート事件と同じようなことになれば、問題の長期化は避けられないかもしれません。

ユーロについては、レーン・ECB専務理事兼チーフ・エコノミストが「必要なら追加利下げの余地がある」と発言したことで、追加緩和期待が高まり、ユーロドルでは一時1.09092ドルまで下値を拡大しています。また、ラウテンシュレーガー・ECB専務理事が突然の辞任を発表し、要因としては、ECBの最近の緩和策に関する意見対立が原因だったと指摘されています。同氏はタカ派寄りの考えであり、今後もタカ派寄りのECBメンバーが辞任するようなことになれば、ECBは一時的に混乱に陥る可能性があります。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

英国のEU離脱問題については、引き続き進展のないまま時間だけが過ぎています。今や、ジョンソン英首相は、議会で過半数を持たない状況であり、議会投票を通じて抜け出ることはできず、合意なき離脱にしても議会の承認は得られていません。さらに、ジョンソン英首相が主張する総選挙の前倒しもできない状態であり、EUの欧州委員会は、アイルランド国境問題に関する英国の案は受け入れることができないと明言しており、完全に四面楚歌になっています。ジョンソン英首相の演説が、党大会最終日の10月2日に予定されていますが、これといった進展が今のところ望めない状況になっています。

前回の日銀金融政策決定会合後の黒田日銀総裁会見にて、今後の追加緩和を示唆したことにより10月の日銀緩和が意識されており、もし10月の会合でも現状維持とするならば、その場合は円高に振れる可能性があります。日銀が国債購入テーパリングを継続していることで、スティーブ化を求める日銀の動きとリンクしており、現在は円高リスクが払拭されていますが、10月にこの緩和期待に梯子を外すようなことがあれば、再び円高基調が強まる可能性は、潜在的リスクとして意識されてきそうです。

トランプ大統領の弾劾リスクより、米中通商協議進展期待の方が大きい

トランプ大統領の弾劾リスクが依然として意識されていますが、現状は、それ以上に米中通商協議の進展期待が上回っていると考えられます。ただ、ここにきてドル円が108円を目前に上値の重さが意識されていることから、一旦、指値、逆指値の幅を縮めます。当方の107.40円付近でのロング、108.20円付近を利食いポイントとして考え、107.10円下抜けで損切りに設定変更です。

海外時間からの流れ

直近の動きとして、週末に地政学的リスクが高まる傾向があり、本日も同様の動きになる可能性があります。リスクオンの地合いになってはいますが、現状のリスクオンの材料は米中通商協議の進展期待のみであり、週末に協議の予定がないことから、手仕舞優勢の売りがドル円を中心に出てくるかもしれません。

今日の予定

本日は、米・8月個人所得/米・8月個人支出/米・8月PCEコア・デフレータ、米・8月耐久財受注(速報値)、米・9月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)などの経済指標が予定されています。要人発言としては、サンダース・MPC委員、クォールズ・FRB副議長、デギンドス・ECB副総裁、ノット・オランダ中銀総裁、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。