企業の経営状態や家計の状況を正しく読み解くためには、フローとストックの違いをきちんと理解しておくことが重要です。ただこの2つの概念を正しく理解できている人ばかりではありません。フローとストックの違いについて基礎知識から説明していきます。

ストックとフローの概念

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(画像=Rawpixel.com/Shutterstock.com)

まずストックは英語で「Stock」と書き、ある時点で蓄積されている量のことを示します。一方でフローは英語で「Flow」と書き、一定期間内に流れた量のことです。以下このストックのフローの概念を具体的な例を使って説明していきます。

民間企業におけるストックとフロー

企業が財務状況を表すために作成する財務諸表は「貸借対照表」(バランスシート)や「損益計算書」(PL)などです。このうち企業のストックは貸借対照表、フローは損益計算書で表されます。ストックは「ある時点で蓄積されている量」のことを示すことをこれまでに説明しました。貸借対照表では、現金預金や売掛金、有価証券、土地、建物などの資産のほか、支払手形や買掛金などの負債、資本金や利益剰余金などの純資産について、ある時点における「量」が記載されています。

そのため企業の状態をストック的に分析するために使われることが一般的です。一方でフローは「一定期間内に流れた量」のことを示します。損益計算書では、売上高や売上原価、営業利益、経常利益、特別利益、特別損失、そして純利益などが記載されています。これらは四半期や通期などの一定期間内でどれだけお金が動いたかを示すことから、フローに該当するというわけです。

家計におけるストックとフロー

「一般家庭における家計がどのような状況であるか」についてもストックとフローの概念を使って分析することが可能です。家計におけるストックは、現金や預貯金、投資信託、積み立て保険、年金準備金などとなり、「資産」と呼べるものが一般的には該当します。そのため個人で保有している土地や建物などの不動産も家計におけるストックの一つです。

一方で家計におけるフローは、簡単にいえば「入ってくるもの」と「出ていくもの」ということになります。前者をまず考えると、企業に勤めている人の場合は毎月のお給料、企業の役員の場合は役員報酬、そのほか資産運用や不動産投資などによって得られる所得などです。後者でいえば、日々の生活費や住宅ローンや税金の支払いなどが該当します。

ストックとフローの読み解き方は?

ストックとフローについては、どのように分析するのが良いでしょうか。金融機関は一般的にストックの分析では「いざというときに支払い能力がどれだけあるか」、フローの分析では「継続的な収入からの支払い能力がどれだけあるか」を判断します。フローが好調でもストックがほとんどなければ、事業が行き詰まり赤字を計上するようになった場合は、金融機関への支払いが滞るリスクが高いといえるでしょう。

逆にストックが多くてもフローが不調だと企業の成長性が見込めないため、融資判断は慎重に行われます。家計をストックとフローで分析する場合にも同様の概念が使えます。フローの状態が悪ければ、過大な融資を受けることには慎重になったほうがよいでしょう。

自分自身を対象に分析してみては?

フローとストックの考え方は自治体や国単位における財政の状況分析にも活用されます。国でいえば、「GDP」(国内総生産)が国全体のフローです。国全体のストックを示す指標は基本的にはありませんが、株価や公示地価、為替相場などがストックを示す指標として用いられます。少しでもフローとストックの考え方と分析の仕方を理解すれば、お金の使い方や貯蓄目標の設定にも生かせます。一度、自分自身を対象にフローとストックがどういう状況なのか分析してみてはいかがでしょうか。(提供:JPRIME


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