前日については、23時に発表された米・9月ISM製造業景況指数が市場予想(50.0)を大きく下回り、47.8となったことから、ドルが急落する場面がありました。この水準は約10年ぶりの低水準ということもあり、景況感の鈍化をマーケットは嫌気してドル円は108.40円付近から107.90円付近まで下げ足を強めました。また、その後もじりじりと下値を模索する動きとなり、ドル円は一時107.629円を示現しています。

ただ、米中通商協議への進展期待から同経済指標発表前に108.465円まで上昇したように、引き続き同イベントへの期待は強く、本日は107.70円台での小動きに終始しています。トランプ大統領がツイッターで「米政策金利は高過ぎる。強いドルは米製造業に打撃を与えている」と述べ、FRBを批判するツイートを行いましたが、同大統領のFRBへの批判は食傷気味の感もあり、マーケットの反応は限定的になっています。

ポンドについては、英国のEU離脱に関する観測報道で乱高下する展開になりました。まずは、「EUは英離脱問題で争点となっているアイルランド国境問題の解決策 『バックストップ(安全策)』について期限設定を検討する用意」との観測報道が伝わると、ブレグジット合意への期待が高まり一時1.2330ドル付近まで急伸しましたが、EU当局者がこの報道を否定すると、1.2260ドル付近まで一転急落する動きになっています。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

本日は、保守党大会最終日ということもあり、ジョンソン英首相による党首演説で幕を閉じます。ジョンソン英首相は、EU離脱に関する最終提案を2日にEU側に送ることを表明しているため、この党首演説にて最終案の説明がある可能性があります。観測記事ではありますが、欧州委員会に対し、アイルランド国境のハードボーダー(物理的壁)設置回避を保証する「バックストップ(安全策)」条項の代案の詳細を提示することが指摘されています。「4年間は2つの国境」と呼ばれる提案の下で、英領北アイルランドはEUとの関税同盟から英国と共に離脱するが、農産品と工業製品については全ての単一市場ルールに沿った規制に4年間とどまるものになるのではないかと推測されています。

ただ、アイルランドのコーブニー外相は、英国のEU離脱の行き詰まり打開に向けたジョンソン英首相の提案を巡る報道について、それが正確なら「気掛かりで憂慮すべき」だと語っており、アイルランド政府は英首相の提案をまだ見ていないとしながらも、「合意の基礎になりそうにない。それは確かだ」と発言していることからも、ポンドにとってはプラスに働く可能性もマイナスに働く可能性も残されれており、ポンドの値動きについては、まずは、保守党大会での党首演説後のEU側のヘッドラインを待ってからの方が賢明だと思われます。

離脱最終案が気になるが、目先は一方方向に動くのでなく乱高下する動きになりそうだ

1.2330ドルでのポンドドルショートメイク、ヘッドラインに振らされる動きにはなりましたが、1.2220での利食いにて手仕舞いです。引き続きポンド中心のトレードに徹したいところですが、まずは前回戦略をなぞるように1.2330ドル付近まで引き付けての戻り売り戦略、利食いは、再度1.2220ドル付近、損切りは、1.2380ドル上抜けに設定します。

海外時間からの流れ

ジョンソン英首相が最終的な離脱プランを提示する準備が整っていると報道が出てきたことから、EU首脳会議(17-18日開催)の議題が設定される11日までに合意をまとめる必要があると発言しており、近く発表される離脱最終案が、まずはそのスタートになります。ポンドを巡る動向は、来週以降活発化してきそうなため、引き続き注視する必要がありそうです。

今日の予定

本日は、英・9月建設業PMI、米・9月ADP民間雇用者数などの経済指標が予定されています。要人発言としては、バーキン・リッチモンド連銀総裁、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、ウィリアムズ・NY連銀総裁の講演が予定されています。また、保守党大会の党首演説が行われる予定です。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。