先週末の海外市場では、米・9月雇用統計が発表されました。先週前半から、シカゴPMI、ISM製造業指数、ADP雇用者数、ISM非製造業指数と立て続けに弱い結果となったことから米景気減速への懸念が強まるなか、非農業部門雇用者数は13.6万人増と予想の14.5万人を下回りましたが、過去2回分が上方修正され、失業率は3.5%と50年ぶりの低水準となった一方で、平均時給は前月比/前年比ともに予想を下振れるなど区々な結果となりました。 これを受け、発表直後には米10年債利回りが低下、ドル売りが先行しましたが、米10年債利回りがすぐに急反発を始めたことからドルの買戻しが強まり、ドル円は106.60円付近の安値から107.13円の高値をつけ、ユーロドルは1.0995ドル付近の高値から1.0957ドル付近へと反落しました。

その後、ナバロ米大統領補佐官の「雇用統計の結果で利下げを抑止するべきではない。ドルは著しく過大評価され輸出が阻害されている。」との発言もあり、米10年債利回りが再び低下幅を広げたためドル買いは続かず、一方で、賃金データの悪化から利下げの流れは継続との見方から米株が引けにかけて上昇したことからドルの下値も限定的となり為替はもみ合いに終始。結局ドル円、ユーロドルともに値幅は50pips程度に止まりました。

週明けのマーケットでは、今週から再開される米中通商協議を前に、「中国は米国との通商合意に向けて協議の範囲を狭める模様」と報じられたのに対し、米側から反発の声が上がったことから協議進展への期待が薄れ、若干円高気味でのスタートとなっています。米中協議は7日、8日に次官級協議が、10、11日には閣僚級協議が予定されています。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

前述の通り、15日に予定されている対中国関税率引き上げを目前に、今週は米中通商協議の動向に注目が集まっています。米農産物輸入拡大を条件に米側の譲歩を引き出そうとする中国に対し、米側は従来通りAll or Nothingの姿勢を崩さず交渉決裂となれば、米の利下げ期待も相俟ってさらなる円高方向にシフトする可能性が高まりそうです。逆に一部で報じられているように、ウクライナ疑惑に伴う大統領弾劾への動きの影響から、米政権が暫定合意に応じる動きとなれば、一時的に円売りの動きが強まりそうです。

コアレンジから上下1円レンジを予想

106.50から107.50をコアレンジに、米中決裂となれば105.50の円高方向に、暫定合意となれば108.50の円安方向へレンジがシフトすると予想します。

海外時間からの流れ

先週はカナダ円が大幅下落となりました。1日発表となった7月GDPでは4月以降の減速傾向が止まらず、前月比±0.0%に落ち込んだほか、原油先物が木曜日には一時前週末比6%超の急落となったことも重しとなり、4日発表の9月Ivey購買部協会景気指数が予想60.6を大きく下振れ48.7まで落ち込むと、週初高値の81.80円台から79.80円台まで下げ幅を広げました。先週末は漸く若干値を戻したものの戻りは限定的で、米経済への依存度が高いだけに、米景気減速傾向が強まれば一段安となる可能性がありそうです。

今日の予定

本日は、独・8月製造業受注、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。