昨日の海外市場では、米中通商協議を巡る報道に米10年債利回りが上昇、全般的にドル買いが強まり、ドル円は107円半ばまで値を戻しました。

欧州通貨は長期金利低下の動きに安値をつけたのち、NY午前にかけては値を戻したものの、ユーロドルは1.10ドル、ポンドドルは1.2330ドル台が重く、引けにかけて反落し行って来いの動きとなりました。

欧州通貨が小動きとなる一方で、ドル円は「中国が協議範囲を狭め、米国が求めている幅広い通商協定で合意することに消極的」との報道を受け、早朝に106.50円台まで下落したのちは、堅調に推移し、NY時間には107円台を回復すると、クドロー米国家経済会議委員長の「米中通商協議は進展する可能性がある。中国企業の上場廃止は検討していない。」との発言に続伸、米雇用統計発表後の高値を上抜けました。

その後、「中国商務省は、中国は交渉の一部について合意する準備ができており、来年解決されるべきより困難な議題のためのタイムテーブルを提示する用意がある、と述べた。」との報道に急伸、107.46円の高値を付けました。

NY引け間際には、「日米、貿易協定に調印」、「米政府、ハイクビジョン含む中国企業8社をブラックリストに追加」との報道に加え、トランプ大統領が「中国との部分的合意は我々が選好するものではない。」と述べましたが、マーケットの反応は限定的でした。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

早期全面合意を求める米国に対し、中国側は暫定合意の上で来年へ交渉を持ち越す姿勢を見せ始めました。ウクライナ疑惑もあり短期間で結果を出したいトランプ政権の足元を見透かしたこの戦略に米国側が譲歩を見せるのか否か事態は流動的です。木曜日から始まる閣僚級協議終了までは諸々の発言にマーケットは振らされることになりそうです。

コアレンジ上限に到達

早朝の下落からNY午後の上昇で、ドル円は昨日想定したコアレンジを綺麗に埋めました。協議結果が明らかになるまでは上値は限定的と見て、107.50円に引き付けてのショートエントリー、ストップは108.00円上抜けとし、コアレンジ下限付近への回帰を狙います。

海外時間からの流れ

トルコリラが急落しました。アメリカ軍の支援を受けIS掃討に貢献したクルド人民兵組織「人民防衛部隊(YPG)」を排除するため、トルコがシリア北東部への軍事作戦を展開するとの計画に対し、トランプ大統領は「行き過ぎた行動があれば、トルコ経済を完全に破壊、抹殺する。」と強い言葉で警告したためで、トルコ円は18.70円近辺から18.30円台へと大きく下落しました。アメリカがシリア問題から撤退することでトルコの負担は高まると見られています。

今日の予定

本日は、独・8月鉱工業生産、米・9月生産者物価指数のほか、ホールデン・英中銀理事、エバンス・シカゴ連銀総裁、パウエル・FRB議長の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。