テレビに取り上げられてユーザー数が急伸

ノハナ,大森和悦
(画像=THE21オンライン)

――ユーザー数が200万ファミリーまで増えているということですが、どのように増やしたのでしょう?

大森 数万までは、mixiからユーザーを誘導したりして伸びましたが、結果的に一番効果的だったのは、テレビで何度が取り上げていただいたことです。最初に取り上げていただいたのは『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)で、それで一気にお客様が増え、それからしばらくは口コミで増え続けました。それがひと段落したら、また別の番組に取り上げていただいて……、という感じで成長してきました。

――テレビで取り上げてもらえたのは、なぜだったのでしょう?

大森 『深イイ話』のときは、アプリの特集をするということで制作会社の方が主婦の方々に調査をしたところ、「ノハナ」の名前がかなり挙がったそうで、「取材をしたい」という連絡をいただきました。

――主婦の間での認知度が高かったんですね。

大森 そういうことでしょうね。毎月1冊無料というのもインパクトがあったでしょうし、愚直にサービス改善をしてきた結果だったのだと思います。

――御社は、社内ベンチャーとして創業した翌年の2013年に株式会社化し、さらに今年、MBOによってミクシィから独立しました。その意図はなんでしょうか?

大森 社内起業制度に手を挙げるくらいですから、もともとアントレプレナーシップがあったということが前提にありますが、創業の翌年に株式会社化したのは、ユーザーに好評だったので、当時のミクシィのCFOが勧めてくれたからです。ノハナの非常勤の役員も務めていただいた方です。

MBOについては、ひと言で言えば、ミクシィグループの中での選択と集中の結果です。ミクシィは、ゲームなど、プロダクトを通じて発生する友人・知人間の口コミによって伸びていくサービス、つまり、ネットワーク外部性が作用するサービスに投資をしていく方針なのですが、当社はそうではないサービスを展開しています。そこで、話し合って、MBOという選択をしました。

また、ミクシィは、子供の写真や動画をオンラインで共有する「みてね」というサービスを展開していて、それが当社と競合するという見方も、以前からありました。サービスを統合するという考え方もあり得ますが、お客様のことを考えると必ずしも良いことではないし、目指しているところにも違いがあるので、別々にやることにしていて、もし将来的にタイミングが合えば独立もあり得るかもね、という話を、2年ほど前からしていたんです。

――起業したいという想いは、いつから?

大森 明確には、大学生のときでしょうか。大学があまり楽しくなくて、アルバイトなどで社会人と話している中で、「ビジネスって面白そうだな」と思うようになりました。

とはいえ、一度、就職しておいたほうがいいだろうと思って、アルバイトをしながらフリーライターをしていた流れで、大学中退後は出版社に入社しました。

出版社では、芸能界に就職したいタレントの卵のような若い人たちと、そういう人たちを探しているプロダクションとをマッチングする雑誌を作っていました。「これはネットでやったほうがいいな」と思っていたので、会社に企画書も出したのですが、会社にネットへの理解がなくて、うまくいきませんでした。

それなら自分でサービスを立ち上げようかと思ったのですが、私自身もネットのことがわからなかったので、求人サイトを運営していたミクシィ(当時は〔株〕イー・マーキュリー)に入社して、ノウハウと人脈を手に入れようと考えたんです。

入社して色々な仕事をしていると、それが楽しくなって、起業することは忘れてしまっていたのですが、社内起業制度ができると、「そういえば起業したかったんだ」と思い出しました。

そのとき、自分の中に「家族」というキーワードができていて、そのためなら一生を懸けられると思いました。子供が2~3歳の可愛い盛りだった時期で、その影響もあったと思いますが、いつの間にか「家族」がキーワードになっていましたね。