(本記事は、加谷珪一氏の著書『“投資"に踏み出せない人のための「不労所得」入門』の中から一部を抜粋・編集しています)

※本書に記載した内容は、原則として2019年6月現在のものです。
※本書に示した意見によって読者に生じた損失について、著者および発行者は責任を負いません。

ゲーム
(画像=PIXTA)

ゲームで遊んでいるだけで稼げる!?

ゲームが世の中でメジャーな存在になってきたことで、海外を中心にプロのゲーマーと呼ばれる人が増えています。日本国内にも一部ですが、プロのゲーマーが存在しています。

ゲームをプレーすることで収入を得るという点で、賭け事に近いイメージを持つ人もいるかもしれませんが、プロゲーマーの実態はまったく異なります。海外ではゲームはどちらかというとスポーツにカテゴライズされており、eスポーツなどという呼び名もあります。

プロのスポーツ選手と同じですから、プロのゲーマーは、コンピュータゲームの大会に出場して賞金を稼いだり、スポンサーから資金提供を受けるという形で収入を得ています。

プロのスポーツ選手と同様、プロのゲーマーは厳しいトレーニングを毎日行っていますし、体力的な問題もあるため、選手生命はかなり短いとも言われています。従来のスポーツとは異なるとはいえ、彼らはアスリートの一種ですから、不労所得レベルはゼロに近いといってよいでしょう。

しかしながら、こうしたゲームの普及は、別な形での収益も生み出しつつあります。1つの例がユーチューブなどを使ったゲームの実況配信です。

ゲームが好き、あるいはゲームのスキルを上げたいと考えている人は、上手なゲームプレーヤーがどうプレーするのか見たいと考えています。したがって高度なスキルを持つゲームプレーヤーが、自分のゲームプレーの様子をユーチューブなど動画サイト上で配信すると、多くの視聴者がこれを閲覧してくれます。

海外ではゲームの様子を配信するだけで、年間18億円も稼ぐ人が出てきているそうですから、かなりの市場規模と考えてよいでしょう。

もし好きなゲームをやり続けることで広告収入を得ることができるのであれば、完璧な不労所得の1つと考えてよいかもしれません。ただ、収益モデルとしては完全にユーチューバーということになりますから、他の分野のユーチューバーと同様、かなりの知名度にならないと高額の広告収入を得ることはできないでしょう。

さらにいえば、ただゲームが上手なだけでは固定ファンを獲得するのは難しいと思われます。他の分野のユーチューバーもそうですが、漫然と動画をアップしているだけでは大きなアクセスを稼ぐことはできません。

1つの動画をアップするごとに視聴者の反応をチェックし、どのような内容をアップすれば、どういった視聴者を獲得できるのか、試行錯誤を繰り返しています。

テレビなど既存のメディアの場合、ひとたび人気が出れば、しばらくはその惰性で高い視聴率を維持できることがあります。しかしユーチューブの場合、人気のユーチューバーであっても、面白くない動画をアップすると、すぐに再生回数が落ちるなど、環境はかなりシビアです。

若年層の中には、テレビなどに出ている芸能人と比較して、ユーチューバーは常に試行錯誤(しこうさくご)が必要となるので、努力を積み重ねている地に足が付いた人という印象を持つ人もいるくらいです。

これはゲーマーも同じであり、単にゲームが上手いというだけでなく、そのゲームを見ている人の心をどうつかむのかが、人気を獲得する鍵となりそうです。

“投資”に踏み出せない人のための「不労所得」入門
加谷珪一(かや・けいいち)
経済評論家。宮城県仙台市生まれ。 1993年東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は、「現代ビジネス」や「ニューズウィーク」など数多くの媒体で連載を持つほか、テレビやラジオなどでコメンテーターを務める。億単位の資産を持つ個人投資家でもある。
お金持ちの実像を解き明かした著書『お金持ちの教科書』(CCC メディアハウス)はベストセラーとなり、「教科書」と名の付く書籍ブームの火付け役となったほか、法科大学院の入試問題に採用されるなど反響を呼んだ。
主な著書に『億万長者への道は経済学に書いてある』(クロスメディア・パブリッシング)、『感じる経済学』(SB クリエイティブ)、『ポスト新産業革命』(CCC メディアハウス)、『戦争と経済の本質』(総合法令出版)などがある。

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