トヨタ自動車株は2014年に日本銀行が追加で行った大規模金融緩和、いわゆる「黒田バズーカ2」後の上昇相場に乗り、2015年3月には8,783円まで上昇した。しかし、その後2015年8月に起きたチャイナショックによる株価下落で、一時は黒田バズーカ2による株価上昇は帳消しになった。
現在トヨタ株は7,000円台を回復し、ペナントパターンを形成中だ。今後それがどう動くのか、予測するためのポイントをまとめてみた。
トヨタの最近の株価動向
日本を代表する企業であるトヨタ自動車<7203、以下トヨタ>の株価は、多くの投資家が注目している。国内市場の売買代金や出来高が減少する中、2019年以降トヨタ株は6,000~7,500円のレンジで取引されている。
時価総額24兆円を超えるトヨタクラスの大型株になると、個別材料よりも株式市場全体の値動きに影響を受ける。トヨタと日経平均株価のチャートを並べると、両者は概ね連動していることがわかる。
過去にトヨタの株価が大きく変動した要因
直近10年で、トヨタ株は2回大きな上昇を見せた。
1 2012年末からのアベノミクス相場
2 2014年10月の黒田バズーカ2
トヨタ自動車クラスの大型株になると、決算の大幅修正やアクシデントがなければ、個別材料で動くケースは少ない。リーマンショック後、トヨタが業績を急回復した要因は、①アベノミクス相場 ②黒田バズーカ2という日本市場全体の上昇をもたらしたイベントに、素直に乗ったことだと言えるだろう。
①2012年末からのアベノミクス相場
2012年12月の解散総選挙を経て、民主党から自民党へ政権が移り、第2次安倍内閣が発足した。第2次安倍内閣は経済重視の方針を取り、その経済政策はアベノミクスと呼ばれた。株式市場はこれを好感し、アベノミクス相場と呼ばれる大きな上昇を見せた。
2009年以降、トヨタ株は概ね2,500円~4,200で推移している。2012年12月は2,500円台で取引されていたが、民主党からの政権交代を機に上昇し2013年1月には4,390円をつけ、それまでの高値を更新した。
その後5月に6,760円まで上昇し、一旦上昇相場を終えた。約半年で株価が2倍以上になったことを考えると、アベノミクス相場がいかに力強かったかがわかるだろう。
②2014年10月の黒田バズーカ2
2014年10月、日本銀行はすでに実施していた大規模金融緩和の追加を決定した。2013年の大規模金融緩和が「黒田バズーカ」と呼ばれたことから、2014年10月のそれは「黒田バズーカ2」と呼ばれることになる。アベノミクス相場はすでに一段落していたが、市場は黒田バズーカ2を好感し、国内株式相場は再び上昇した。
トヨタ株も上昇し、2013年5月の高値6,760円を11月に突破。2015年3月には2007年2月の高値8,350円を更新し、8,783円をつけた。アベノミクス相場に比べると上昇率は劣るものの、約半年で6,000円台半ばから8,000円台後半へと3割以上の上昇を見せた。
黒田バズーカ2により8,000~8,500円の天井を形成
黒田バズーカ2の効果でトヨタ株は2007年2月の高値(8,350円)を更新したが、その後株価は押し戻され、結果的に8,000~8,500円で天井が形成されることになった。リーマンショック前から下落が始まっていたトヨタ株だが、黒田バズーカ2により、リーマンショック前の株価水準を一時的に回復している。
しかし8,783円で跳ね返されたことで、この価格帯の天井の厚さが再認識されることとなった。今後トヨタ株が上昇する場合、過去2度跳ね返された8,000~8,500円の天井が強く意識されることになるだろう。
その後のチャイナショックで黒田バズーカ2の効果は帳消しに
2015年8月に発生した中国の上海株式市場の急落、いわゆるチャイナショックを契機に、世界の株式市場は下落に転じた。トヨタ株も影響を受け下落を続け、2016年6月には4,917円という黒田バズーカ2前の水準まで下落した。
その後株価は上昇し、2019年9月時点で7,000円台を回復している。トヨタ株は黒田バズーカ2で上昇し、チャイナショックで下落した後、方向性を見出せない状態が2年以上続いている状態なのだ。
トヨタの株価動向を予測するポイント
黒田バズーカ2相場の中で、トヨタの株価は8,000~8,500円の天井に跳ね返された。現在は黒田バズーカ2による上昇分の半値程度の水準にある。
現在のトヨタ株は、ペナントパターンを形成中だ。
ペナントパターンはレンジ相場
現在のトヨタ株は、2015年3月の高値8,783円と2016年6月の安値4,917円の間で、ペナント(三角)パターンを形成している。
ペナントパターンは、相場の方向性が生じないレンジ相場で出現する。トヨタ株は高値を切り下げながら、また安値を切り上げながら推移する、方向性のない値動きが続いている。
ペナントパターンでは、株価がペナントの頂点に近付くと、ペナントブレイクというかたちで新しいトレンドを形成する。ただし、それがいつ発生するかはチャートを見ただけではわからない。頂点付近でブレイクするケースが多いが、長期に渡りブレイクが生じないケースもある。よってペナントブレイクを狙う際は、焦らず待つというスタンスも必要だ。
ペナントブレイクのダマシに注意
ペナントパターンがブレイクするに、チャートが進むべき方向とは逆の方向に一旦進んだ後、新たなトレンド方向に進むケースがしばしば発生する。いわゆる「ダマシ」だ。
よってペナントブレイクの初動に安易に乗ってしまうと、損失を被る可能性がある。損切りをしなければ、トレンドと逆のポジションを持つことになるので注意したい。
トヨタ株の行方は日経平均そして米国市場次第の側面も
前述のとおり、トヨタ株は市場全体の値動きに影響を受ける銘柄で、日経平均株価などの指数に連動しやすい。
日経平均は、ダウ平均などアメリカの株価指数の影響を受けている。したがってトヨタ株の方向性を占うには、日経平均や米国市場の状況も踏まえる必要がある。
トヨタ株を買うには
トヨタ株の9月17日(火)終値は、7,445円。100株単位で取引される銘柄なので、最低投資金額は約75万円だ。
トヨタ株の購入にあたって、比較的手数料を抑えて購入できる証券会社は以下のとおりだ。
・DMM.com証券(DMM株)367円
・ライブスター証券 367円
・GMOクリック証券 479円(税込)
・SBI証券 525円
・楽天証券 525円
・岡三オンライン証券 648円
※いずれも税込み価格
DMM.com証券とライブスター証券を利用すれば、わずか367円の手数料で購入できる。以下、GMOクリック証券の470円、SBI証券・楽天証券525円、岡三オンライン証券648円と続く。またSBIネオモバイル証券、LINE証券を利用することで、トヨタ株を1株単位(約7,500円)で購入することもできる。
まとめ
トヨタ自動車は、日本を代表する企業としての地位を確立している。よってトヨタの株価の動きは、日経平均など国内株式市場全体の値動きと連動する傾向にある。通常はトヨタ株が単独で急騰・急落する可能性は低く、トヨタ株は国内の株式市場全体の方向性に追随するような値動きを見せる。
トヨタ株の値動きが国内株式市場全体の影響を受けるように、日本の株式市場は米国の株式市場の影響を受けている。よってトヨタ株の値動きを予想する上では、日経平均などの値動きに加えて、ダウ平均など米国の株式指標の動向にも注意しなければならない。
トヨタ株は現在ペナントパターンを形成中であり、方向感のない値動きが続いている。このペナントパターンが「どのタイミングで」「上下どちらにブレイクするか」に注目しつつ、トヨタ株の推移を見守りたい。