米アップル (NASDAQ:AAPL)の株価は、現在上昇を続けている。一部のアナリストは以前、iPhone事業が成熟期を迎え、株価を下押しすると見ていた。

アップルに対する悲観的な予想は、iPhone 11の発売後では急速に弱まっている。先週の日本経済新聞の報道によると、アップルがサプライヤーに対してiPhone 11の生産を10%増やす指示を出したとのこと。

ファクトセットによると今年度のiPhone出荷数に関するアナリスト予想は、iPhone 11が9月20日に発売されて以来、300万台増加している。

JPモルガンのアナリストであるSamik Chatterjee氏は「我々はiPhone出荷数の予想を控え目に上方修正している。アップルに対する投資家心理は大幅に改善するだろう」と述べ、アップルの目標株価を243ドルから265ドルへ引き上げた。また、「2020年9月に発売が予定されている5G対応のiPhoneを見越して、2020年2021年の予想出荷数も上方修正している」と付け加えた。

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(画像=Investing.com)

これらの材料を受け、10月11日の同株は史上最高値の237.64ドルを記録した。最大の疑問は、この上昇が継続的に続くかどうか、また今エントリーすべきか否かである。

米中貿易戦争のリスク

アップルは数多く深刻な懸念を抱えている。中でも最大のリスクは米中貿易戦争激化による、サプライチェーンシステムの混乱である。11日、米中間で貿易協議を行い、部分合意に至った。一部報道によると、ドナルド・トランプ米大統領が関税に対して柔軟な姿勢を見せる場合、中国は貿易協議の合意に応じると報じた。

バンク・オブ・アメリカのアナリストであるWamsi Mohan氏は、アップルの中国経済への貢献を考慮すると、これ以上米中貿易戦争にアップルが巻き込まれる可能性は低いと顧客へ説明している。

その他に同社の成長を後押しする要因は、2020年発売予定の5G対応iPhoneである。ジェフェリーズのアナリストであるKyle McNealy氏によると、5G対応iPhoneがアップルへもたらす影響は余りに控え目に見積もられているとのこと。

アナリストは、2021年の5G対応iPhoneの出荷数を1億9000万個と予想している。これは、過去6年間の平均を9%下回っている。McNealy氏は、これらの予想は過小評価であるとし、2億800万個と予想している。

また、アップルの株価上昇の背景には、ティム・クックCEOによる事業の多角化が挙げられる。アップルミュージックなどのサービス部門の売上高は昨年33%増となり、400億ドルの売上高を記録した。これは同社の2656億ドルの売上高の15%を占めている。

iPhoneの売上高は6月までの9か月間で190億ドル減となっている。一方、全体の売上高は126億ドル増となっており、サービス事業の強い伸びが窺える。

Apple TV+やApple Arcadeなどの新サービスにより、同社は今後も成長を続けることができるだろう。モルガン・スタンレーによると、サービス事業の収益は今後も増加し、今後5年間でアップルの収益の約60%を占める可能性がある。

総括

アップルの株価上昇に背景には、米中貿易戦争のリスクの再評価や今後の同社への期待が反映されている。我々はアップルは長期的に、今後も上昇を見込める銘柄であると考える。(提供:Investing.comより)

著者: ハリス アンワル