その日、ウォール街に激震が走った。10月1日、米証券大手のチャールズ・シュワブが「株取引の売買手数料を撤廃する」と発表したからだ。後段で述べる通り、同日の米株式市場ではチャールズ・シュワブの株価が13%下落したほか、イー・トレード・ファイナンシャルが16%安、TDアメリトレード・ホールディングが26%安とオンライン証券株が総崩れとなった。
ウォール街の市場関係者からは「さらなる余震が続く恐れがある」「業界再編が加速しそう」との声も聞かれる。そこで今回は震源地となったチャールズ・シュワブについてリポートしたい。
「モグラ叩きのような銘柄なのさ」
10月15日、チャールズ・シュワブが発表した今年7~9月期(第3四半期)決算は増収増益となり、利益、収入ともに市場予想を上回る好決算となった。利益は前年同期比3%増の9億5100万ドル。1株利益は0.70ドルとファクトセットがまとめたアナリスト予想の0.64ドルを上回った。収入は前年同期比5%増の27億1000万ドルで、こちらもアナリストの予想の26億4000万ドルを上回っている。新規の証券口座は36万3000件で、アクティブな証券口座は前年同期比6%増の1210万件となった。
「つまり、モグラ叩きのような銘柄なのさ」ウォール街のトレーダーはチャールズ・シュワブ株について皮肉交じりにそう指摘する。チャールズ・シュワブ株は好決算を受けて一時的に上昇するものの、あくまで「一時的」で結局は低迷から脱することが出来ない状態が続いている。たとえば同社の株価は7~9月期の好決算を受けて前日比5.4%高の39.74ドルを記録する場面も見られたが、その後は上値の重い展開となっている。同じく4~6月期の決算発表でも利益、収入ともに8%増となり、株価は7月15日の40.3ドルから24日には44.28ドルと1週間余りで10%超上昇したが、結局上値を維持することが出来ず低迷に逆戻りしている。
チャールズ・シュワブの株価は、2017年の年初は41ドル台で推移しており、現状はおおむね3年前と同水準で推移している。ちなみに、2018年5月には60ドル近辺まで上昇する場面も見られたが、やはり当時も「モグラ叩き」のように売られ、低迷に逆戻りしている。件のトレーダーによると「たとえ業績が良くても冴えない銘柄はたくさんあるが、チャールズ・シュワブはその典型例」ということのようだ。