◉充実した投資のプラットフォーム


もう一点、個人投資家絡みの話をお伝えさせてください。
英国では現在、ファンド投資を行うにあたって「プラットフォーム」を利用するのがスタンダードだそうです。

「プラットフォーム」とは、日本で言うところの投信販売会社(証券会社、銀行など)に近い役割です。しかし大きく異なるのは、英国に存在するほとんどのファンドを並列で扱えるところでしょうか。
日本の場合には系列やグループ意識が強く、全ての運用会社の商品を並列的に扱うことなどがなかなか難しいのが現状です。それを考えるとSBI証券や楽天証券などのネット専業証券会社はやっぱり頑張っている方だと個人的には思います。

英国の個人は、主にこのようなプラットフォームを通じてファンドに投資することになります。
また、英国ではそのような投信プラットフォームだけで40社以上もあるとのことでした。
なおここの写真で話を聞いている会社もそうしたプラットフォームの一社です。


◉プラットフォームの活用の仕方とイギリス人の投資スタイル


伺った個人のプラットフォーム利用の仕方としては

1.個人で口座を作り、主にwebでDIY(Do it yourself)購入する

2.IFAにアドバイザーフィーを支払い、IFAがプラットフォームを利用しながら購入していく

の2パターンとのことです。

IFAは上記していますが、主にある程度の資産(=数千万円)を保有する層に良く利用されています。資産額がそれ以下の場合、アドバイザーの利用メリットが薄れるようですが、概ね日本円で3000万円以上の金融資産をお持ちの方などからアドバイザーの利用率が上がります。

日本との大きな違いで言えば、もうすでにプラットフォーム間の競争が激しくなってきており、「販売手数料」(Initial charge)は0%が常態化してきているとのことでした。日本ではコンプライアンス上も、販売会社の収益としてもこの「販売手数料」を当てにしているので、回転売買などが問題になります。競争が進んで0%が常識になってしまえば、こうした問題はなくなるでしょう。

日本でも一部のネット証券で、一部の商品がこの「販売手数料」0%が実現していますが、全体に普及するまでにはまだまだ時間がかかりそうです。
なお英国では、もう十分に資金が集まっており、これ以上資金の必要がないファンドなどはわざと「販売手数料」を高く設定するなどの調整があるとの話でした。

プラットフォーム自体のビジネスは、このファンド購入後に残高の0.2%程度を信託報酬の中から貰うという形でビジネスとして回しているようです。
ここに関して言えば、日本の販売会社の信託報酬は主に0.5~0.8%程度が多く、その意味ではまだまだ高コストな印象を受けます。プラットフォームとしての機能に特化しているわけではなく、銀行や証券会社として対応していることが主な原因だと感じました。

我々FPの立場としても、日本でもこうしたプラットフォーム会社が出来てくると大変ありがたいのですが、まだまだこうした仕組みは実現まで時間がかかりそうです。

また上で記述したRDRは、このプラットフォームビジネスにも大きな変化を生じさせそうです。
つまり先程の0.2%程度の報酬も、コミッションではなくきちんと顧客にプラットフォーム利用料(フィー)として認識してもらう事になっていく方向で動いています。

以上、RDRやプラットフォームなど、イギリスでの個人投資・資産運用の最新事情のレポートをお送りさせて頂きました。
お読み頂いている方の参考になれば幸甚に存じます。

BY 小屋 洋一( マネーライフプランニング 代表)

本人の同意のもと、ブログ記事を一部加筆・修正等を行った上で掲載しています。

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photo credit: Anirudh Koul via photopin cc