こんにちは。独立系FP(ファイナンシャルプランナー)、 マネーライフプランニング 代表の小屋洋一です。
前回、 英国視察を通して見えたもの 前編~発祥国に学ぶ話題のISA活用法~ にて、日本でも2014年からの導入が予定され注目集めるISAについて、発祥国イギリスからの視察レポートをお届けしました。
本日は個人の新運用を考える上での参考として、金融先進国であるイギリスの最新事情等をお伝えしたいと思います。
◉イギリスの金融アドバイザーのビジネスモデル
英国のIFA(Independent Financial Adovisor)は米国のCFPと同様にクライアントの資産管理とアドバイスを主な仕事としています。
米国では主にクライアントに対して資産残高の1%をアセットマネジメントフィーとしてもらう形態が多くなっています。
英国ではどうかというと、これまでは主に投資商品のOngoing Charge(日本で言うところの信託報酬のようなもの)として、投資商品を購入して貰う中でコミッション(手数料)の一部を貰っていた形態でした。
主に1.5~1.7%の手数料チャージの中から0.75%程度を手数料としてもらっていたと言うところが多いようです。
(編集注:フィーは顧客から直接受け取るもの、コミッションは金融商品の販売元から受け取るものとご理解ください。また、日本では主に販売時の売買手数料や信託報酬等のコミッションが金融期間の営業担当の成果となるモデルが一般的です。このため、金融機関側は不必要な売買を顧客に勧誘ししているという問題提起が国内でも盛んになり始めています。)
参考:
お金の相談、どんな専門家が頼りになるか?〜日米金融サービスの違いに学ぶ〜
しかし、この形態が、今年から導入されたRDR(Retail Distribution Review)の導入によって変化し始めました。
RDRは、この顧客に対して商品を販売する際にコミッションが廃止されて、フィーに移行すると言う規制です。
◉RDR:更に個人投資家重視の制度へ
RDRは簡単に説明しますと、
【以前】
「購入者(消費者)」⇒「運用会社(手数料年1.6%程度)」⇒「IFA(コミッション0.75%程度)」
という仕組みだったのが
【以後】
「購入者(消費者)」⇒「運用会社(手数料年0.85%程度)」⇒「IFA(フィー0.75%程度。直接IFAに支払うか、運用会社を通じて支払うかは購入者が選択可。)」
という変化になります。
これまでコミッションに紛れて不明確だったアドバイザーへの報酬を、これからは明示的に行うという変化なのだと受け止めてください。またこれは、投資商品だけではなく、保険商品の販売でも同様の規制が行われています。
つまり、この改革によって消費者の認識していなかったコミッションという概念は撤廃されて、各関係者に対する手数料が明示的に説明されることになったという事になります。
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参考資料
その意味において、日本では既に信託報酬の内訳が目論見書などでは明示的になっていますので、それを消費者に正しく説明して認識させることができればイギリスのRDR的な要件は備えているとも言えると思います。
しかし、イギリスとの比較で言えば、日本で遅れているのは保険業界の手数料開示についてでしょう。
昨年
ライフネット生命が代理店手数料を開示して話題になりました
が、RDRではもちろんこのような事は当然の事として行われることになります。