現在、2000年代に進んだ規制緩和の影響もあって、保険選びのチャネルが増えています。旧来からの保険会社や専属代理店の営業員をはじめ、銀行や証券会社でも保険の契約が出来るようになりました。また、特に複数の保険会社の保険を取り扱う、乗り合い型と呼ばれる店舗を構えて来客型の保険代理店の成長は著しいものがあります。

しかし、実は現在金融庁や金融審議会の作業部会などで、上記の保険販売チャネルの営業手法が問題視されているのです。保険の代理店ビジネスの大まかな仕組みと問題視されている事柄についてのまとめをお届けします。


保険代理店ビジネスの仕組み

これは乗り合い代理店でも、一社の保険のみを扱う専属代理店でも同じなのですが、保険代理店は販売した保険に応じた手数料を保険会社から受取り、これを収益源としています。

そして手数料の金額は、保険会社やその商品、また代理店と保険会社の契約関係によって大きく変わります。手数料の多いものの場合、例えば、1年目の保険料の50%〜70%+2〜10年目の保険料の10%が支払われるというような具合いです。また手数料が低いものだと、1年目の保険料の20〜30%のみというような場合も存在します。

当然、保険会社から販売代理店に渡される手数料の原資は、保険の加入者の方が支払う保険料です。そのため、加入者が保険を途中で解約すると、その年以降の手数料の支払いの停止や、代理店から保険会社に過去受け取った手数料の返還義務が生じるというようなことも発生します。
保険会社は受け取った保険料から代理店に手数料を渡し、残りが実際の保険金や(貯蓄性保険の場合は)運用の原資となります。

なお、自分の納めている保険料の内どれくらいが手数料として代理店に渡るかですが、通常は一般公開されていません。
ただ、納める保険料から代理店の手数料となる割合が明示されていないのは、加入者に対して公正ではないという意見もあります。保険の代理店業を営む独立系のFPの方や、一部の保険代理店の中には、受け取る手数料を顧客に対して明示されている方もいらっしゃるようです。またライフネット生命は、自社の保険商品の保険料の内、どれくらいが保険代理店の手数料になるのかを一般公開して話題を集めました。


手数料が作る販売インセンティブ

販売代理店が受け取る手数料は、保険会社や保険商品によって異なると先程述べました。そのため保険会社側は、自社の保険商品の販売を強化するために、保険代理店に対して手数料アップのキャンペーンを行うなどしています。

同じ保険料の商品でも、代理店の受け取る手数料率が初年度保険料の30%だった場合、代理店の収益は90,000円と大きく異なります。これほどの違いがあれば、保険を販売する代理店側にも、手数料率の高い保険を顧客に勧めてしまうインセンティブが生じることも多いと思われます。