金融庁は現状を問題視

上記のような保険代理店の仕組みも、顧客に対して明示されていれば問題無いのかもしれません。しかし、残念ながら、一部の保険代理店(特に乗り合い代理店)の中に、「公正や中立」を看板に掲げながら、実際は違っている代理店や販売員も居るのではないかという問題提起が金融庁によりなされています。

実際に金融庁は保険代理店に対して、アンケートやヒアリングを実施するなど実態把握に乗りだしています。また、首相の諮問機関である金融審議会の作業部会では、「保険代理店に対して、保険会社か受け取る販売手数料率の開示義務を課すべきでは」という議論も行われています。


コミッション(手数料)モデルの限界?欧米ではフィービジネスへの移行が進行中

ただ、手数料率の開示だけでは抜本的な解決にならないかもしれません。例えば、保険会社から代理店に支払われる手数料率がどの保険商品を販売しても一定であった場合でも、販売代理店側は収益を増やそうと考えたら、月々の保険料の高い保険やプランを顧客に勧める必要があります。
そしてそれでは、顧客がベストな保険選びを行うことを阻害してしまう可能性があります。

このような問題を解決するにあたり、金融商品の販売のモデルをコミッションモデルからフィーモデルへ切替えるべきという議論も存在します。

コミッションモデルとは、今回説明した保険の手数料収入のように、販売した金融商品の内容や金額に応じて販売者が手数料を受け取れるモデルです。この場合、一見顧客からは販売者に対してお金が渡っているように見えません(実際は元の保険会社を介してお金は渡っています)。それに対してフィーモデルとは、販売代理店は保険会社から手数料を受け取らないですが、代わりに顧客からアドバイス料等を受け取るモデルです。
この場合は、アドバイザーは、顧客からきちんとお金が受け取れるので、安い保険も含めて顧客にとって最適な保険の提案がしやすくなります。また究極を言えば、本当に顧客のためだと思うのなら「保険に加入することを見合わせる」ことも勧められるようになります。保険に限らず金融商品の販売は、国内ではコミッションモデルが中心です。しかし、実は米国や英国などの欧州では、現在徐々にフィーモデルが市民権を得始めています。

実は欧米でも金融商品の販売はコミッションモデルが主流だったのですが、80年代の末頃から上記のような問題提起が行われ、20年間で徐々にフィーモデルの金融商品販売が広がっていきました。

以上、国内の保険販売の仕組や、問題視されている事柄、また少しですが海外の金融商品販売の流れなどをお届けしました。

photo credit: Alex E. Proimos via photopin cc