こんにちは。独立系FP(ファイナンシャルプランナー)、 マネーライフプランニング 代表の小屋洋一です。
今回から時々ZUU-ONLINEに対して、個人の資産運用や、国内外の資産運用事情について等を寄稿していく予定です。
どうぞ宜しくお願い致します。

さて、現在金融業界(特に証券業界)では、来年度から実施されることとなった日本版ISA制度導入についての話題に事欠きません。
現段階でもすでに、「日本版ISAは使い勝手が悪いとか恒久制度ではない」などという問題点や批判も多く展開されています(もちろん私もそう思います)。

ひょんなことから、ISA制度発祥の地である英国にて、現地のISA制度について、IFA(インディペンデント・ファイナンシャル・アドバイザー=独立系の金融アドバイザー)の活動や意見、金融機関のスタンスなどを直接お伺いするツアーに参加させて頂く機会がありました。
米国のFPについては毎年(今年は5月にラスベガス)訪問して、話を聞いておりますが、欧州・英国のFP(あるいはIFA)の話を聞くのは初めてです。

今回は、その内容を日本との違いだけではなく、米国との相違点にも注目してレポートさせて頂きます。

参考: お金の相談、どんな専門家が頼りになるか?〜日米金融サービスの違いに学ぶ〜


◯そもそも、日本版ISA制度について


日本版ISAとは、今後導入が予定されている投資信託や上場株式等のための非課税制度です。
英国のIndividual Savings Account(個人貯蓄口座)を参考にした制度であるため、「日本版ISA(アイサ/アイエスエー)」と現在では呼ばれています。

投資信託や上場株式等から生じる所得への課税は、日本版ISA制度の導入にあわせて現在の10%から20%になる予定です。しかし日本版ISAを利用することで、年間100万円、最大500万円までの投資分から得られる値上がり益や配当・分配金が実質最長10年間非課税となります。

ISA発祥のイギリスでは、 ISA制度の認知度が高く、居住者であれば国籍に関係なくISAの口座を持つことができるため、幅広い人が利用しています。ISAを通じてイギリスの金融市場に流れたマ ネーは20兆円を超え、市場の活性化に一役を買っています。


◯ISAに力を入れる金融機関


なお、ここまでISAが注目集めだしている背景には、制度の内容もさることながら金融機関側のISA利用に対する広告の活性化も大きいと思われます。

ISAは1年間で利用できる投資金額が決まっています(イギリスでは135万円程度、日本では100万円)。
この非課税枠は翌年に繰り越して利用すことはできないがゆえに、期限を迎える前(イギリスは4月初旬、日本は3月15日)に金融機関は大規模な利用キャンペーンを張ることができます。

これは、金融機関側からすれば正直なところ、ISAだけではキャンペーンの費用を回収することはできません。
しかしISA口座の利用者はその他運用資産についても良質な顧客になってくれる可能性が高くなります。実際にイギリスではISA口座の利用者は、他の口座開設者よりも移動が少ないです。
ISA以外の資産を預かりたい金融機関にとっては、一つのきっかけ作りのキャンペーンとして利用しています。


◯今回の視察ツアーの目的


まず、2013年2月に行ってきましたので、ツアーの内容をご報告したいと思います。

ちなみに、ロンドンでの様子は4月2日のWBS(ワールド・ビジネス・サテライト)でも放映されたようです。
宜しければそちらもご覧ください。

参考: 株の利益に“税金ゼロ” 日本版「ISA」とは

さて、今回のロンドンではISA(アイサ)制度についてヒアリングしてくるのが主な目的でした。日本でも来年から日本版ISAとして導入されるのですが、まだまだ内容についての理解や普及は今一つです。

したがって、今回は

「本場イギリスで一般の人がISAをどのように利用しているのか?」
「金融機関、金融アドバイザー側はISAをどのようにPRしているのか?」
「マスコミはISAをどのように評価し、取り上げているのか?」

などを確認してきました。