前週末については、ライトハイザー通商代表部(USTR)代表、ムニューシン財務長官、中国の劉鶴・副首相が主導するかたちで第14回米中閣僚級通商協議が電話協議で開催されました。協議後には、USTRから「一定の分野で合意に近づいている」と前向きに物事が動いていることが発表されました。もともと、事前報道から順調に消化されるイベントになるだろうとの思惑があったことで影響は限定的でしたが、引き続き緩やかなリスクオンの地合いは継続される見通しです。今回の協議でマイナス要因が出てこなったことで、11月16-17日のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に併せて開催される米中首脳会談での署名合意はほぼ確実視されたと考えてよさそうです。
また、ユーロドルについては、独・10月IFO景況指数が市場予想94.5に対して94.6となり、1.1120ドル台までユーロ買いになる場面がありましたが、ECB理事会にて、11月から再開される量的緩和策を必要な限り維持する姿勢が示されたこともあり、上値が抑えられています。
今週は、主要イベントが目白押しとなりますが、週の前半は米中通商協議の進展期待が緩やかな円安を演出しそうですが、前週末に国内、そして国外のメディアから日銀の追加緩和見送り報道が相次ぎました。これまでも、日銀が追加緩和を見送る度に、黒田日銀総裁がマイナス金利深掘りを意識させるなど、今後の追加緩和を示唆していましたが、今回も据え置き、または、フォワードガイダンスの微調整程度に留まるようであれば、調整の円買いが強まってくるかもしれません。
◆今後の見通し
欧州連合(EU)は、英国の離脱期限延長を原則合意したと発表しました。期間については決定を保留し、29日までに決定する予定とのことですが、そういった意味でも、本日ジョンソン英首相が提出する総選挙動議の採決が意識されそうです。一部報道では、日本時間の本日28日18時からブレグジット期限延長の期間についてEU首脳は議論する予定であり、期間については1月31日までの延期が提案されていると報じられています。ただ、総選挙実施動議が否決されるようなことになれば、EUからの離脱延長期間の回答が11/15までになる可能性もあるため、重要度の高いイベントになりそうです。
また、本日は野党からの動議も提出され、内容としては総選挙の期日をジョンソン英首相が希望している12/12でなく、12/5、もしくは12/9にするというものです。この数日程度の変更で何が変わるかというと、学生の投票が期待できることが挙げられます。12/12だと既に学生が冬期休暇に入り、選挙に参加する人数が減ることが想定され、また、学生の大多数は未だに残留志望だとの報道もあることから、野党としては12/12よりも前倒しでの選挙を前面に押し出してくるのではないでしょうか。また、SO24(議事規則24号:緊急審議)の採決も行われる予定であり、可決するようであれば、火曜日の議会の数時間を野党主導で行われることになり(政府の議会決定権が、一時的に剥奪される)、「2度目の国民投票実施」や「関税同盟残留」などの修正案を追加する議会の混乱を招く可能性があります。とにもかくにも、本日28日、29日が英国議会にとって重要な日になりそうです。
30日に予定されているFOMCでは、現行の1.75-2.00%から0.25%利下げを行い、1.50-1.75%になることがコンセンサスになっています。一部では、今回で「予防的」利下げは打ち止めになるのではないかと言われており、12/11のFOMCで継続的に「予防的」利下げが示唆されるかどうかが注目されます。
◆ポンドにとっては、勝負の28日、29日
一部報道では1月31日までの離脱延期観測もありますが、本日の18時よりブレグジット期限延長の期間について議論が開始されます。また、総選挙動議の提案も本日予定されていることから、明朝にはポンドの景色が一変する可能性がありそうです。139.30円のポンド円ロングは、利食いの141.00円、損切りの138.50円設定で変更なしとします。
◆海外時間からの流れ
前週25日には、EUが英国の離脱延期期日を決定しないとの報道から、一時的にポンドのボラティリティが低下しましたが、本日は、日本時間18時からブレグジット期限延長の期間について議論するとされており、1月31日までの長期延期なのか、フランスが主張している11月15日までの短期延期なのかに注目が集まります。また、英国議会では、ジョンソン英首相が提案する12月12日の解散総選挙実施の動議採決が議会で行われる予定であり、再びポンドの荒い値動きが復活しそうです。
◆今日の予定
本日は、主要な経済指標が予定されていません。要人発言では、テンレイロ・MPC委員の講演が予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。