マイナビと日本経済新聞が発表する「2020年卒就職人気企業ランキング」で文系総合5位にランクインしたJAL(日本航空)。一時は上場廃止に追い込まれるなど財政面で不安定な時期もあったが、近年は営業収益・利益ともに安定している。そんなJALの平均年収はいくらなのだろうか。

JALの平均年間給与は約828万円

JAL,年収
(画像=PATARA/Shutterstock.com)

2019年3月期の有価証券報告書によればJALの平均年間給与は、827万5,000円となっている。また平均年齢は39.9歳で平均勤続年数は15年だ。(2019年3月31日現在における提出会社単体の数字)2016年から2018年の平均年収は850万円前後で推移している形だ。

<過去3年間のJALの平均年収推移>

JAL,年収
(画像=(単位:千円)
※JALの有価証券報告書を元に筆者作成)

JALの特徴として職種別の平均年間給与に差があることがあげられる。2019年3月期現在、グループ全体で見ると3万4,003人の従業員がおり、このうち地上社員は2万4,295人で平均年間給与は603万1,000円だ。一方、運航乗務員であるパイロットは2,690人で平均年間給与は2,109万6,000円、客室乗務員は7,018人で平均年間給与は560万3,000円となっている。

JALの子会社を含めた連結ベースの営業収益は、2018年3月期は約1兆3,832億円に対し2019年3月期は約1兆4,873億円であり上昇基調にあるといえるだろう。営業収益面をけん引したのは国際旅客の収入で約1,000億円の営業収益上昇のうち3分の2を国際旅客の増収でカバーしている。またJALの2018年度の純利益は1,508億円で、こちらは2017年度の1,354億円からは増加となった。

2015年3月期~2019年3月は1,500億円前後で推移しており、2012年の再上場後から若干減益となっているが堅調に利益を出しているといえるだろう。

JALを取り巻く課題 安全面などに課題も事業の多角化を目指す

JALは2017~2020年度の中期経営計画で「安全」「顧客満足」「財務」の面でそれぞれに目標を設定している。安全面については、航空事故ゼロ、重大インシデントゼロの実現を目指しているが、2018年以降、乗務員の飲酒が発覚するなどしたため国土交通省から行政指導を受けた。現在は信頼回復に努めている状況だが、依然として課題は残ったままだ。

顧客満足については、2020年までに世界トップレベルの顧客満足を実現するとしている。具体的には、多言語への対応、多様なニーズに応じた機内食やラウンジ飲食やキャッシュレスでの支払い手段の拡充を行う予定だ。また「スマート空港」の名の元に顔認証やITを活用し手続き時間の短縮にも努めている。

財務については、営業利益率10%以上、投資利益率(ROIC)9%以上と明確な数値目標を掲げているJAL。健全な成長を達成するために事業ドメインの拡大を行っていることも忘れてはならない。ビジネスジェットへの参入を計画したり野村総合研究所と「JALデジタルエクスペリエンス」を設立し、顧客データの活用を目指したりと事業の多角化戦略を進めている状況だ。

このようにさまざまな取り組みで継続的な成長を目指しているJAL。同社が今後安定した成長を続けるためには、安全性の確保および、テクノロジーをうまく活用できるかどうかがカギになってくるだろう。今後のJALの取り組みに注目していきたい。

文・MONEY TIMES編集部/MONEY TIMES

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