経済予想を次々と的中させることから「経済の千里眼」の異名を持つ国際金融コンサルタント、菅下清廣氏。市場への鋭い先見性を持ち、『ウォールストリート式年収1億円の条件』『最後の10倍株を買いなさい』など多数の著書を執筆している。
前回は、アメリカ市場の好調の背景についてうかがった。菅下氏は、今後アメリカ発のバブルが訪れ、株価が10倍になるような銘柄が出てくると予測する。今回は、菅下氏が注目する知財資本主義の3つの分野について詳しく話を聞いた。
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知財資本主義とは何か?
――まず知財資本主義について教えてください。
知財とは知的財産のことで、人間の知的活動によって生み出されたアイデアを指します。
産業革命以降、物質としての商品を作り、ロジスティクスを使って世界に売るという時代が長らく続きました。日本では自動車のトヨタ、家電のシャープやソニーなどが活躍しました。
しかし、今はハードの時代からソフトの時代へと移り変わりました。シャープは台湾企業に買収され、東芝のメモリ部門もアメリカや韓国のファンドに買われています。かろうじて、トヨタを始め優秀な製造業が活躍しているというのが現状でしょう。
時代はハードからソフトへと切り替わっているのです。資本主義が次のステージに立ったともいえます。そんな今の時代の資本主義を形容するなら、まさに知財資本主義という言葉が最適でしょう。
――知財資本主義の時代が訪れ、世の中では何が起きているのでしょうか。
知財資本主義は、デジタル資本主義とも言い換えられます。知財資本主義の中心にいるのは、アップル・アマゾン・グーグル・フェイスブックのGAFAと呼ばれる企業です。
これまでの産業資本が中心の経済では、まず金融資本から資金を借り、設備投資して工場を作るという流れがありました。この工場で雇用が生まれ、作られた製品が購入されることで社会に還元されて、全体として所得が循環し、経済成長をしてきました。
しかし、知財資本主義の時代では、特殊な最先端技術を開発できる企業の株式に富が集中して、株価として積み上がっていく構造になっています。そのため、今は持つ者・持たざる者の格差が広がりました。
デジタル空間を利用した技術なら、設備投資が必要ありません。一部のとてつもない天才たちが、新しいアイデアで技術を生み出し、そこに富が集中する。これが知財資本主義である現代の構図です。
――そうやって集まった富は、どこに向かうのでしょうか。
アイデアに集まった富は、まず人材へと還元されます。アイデアが命綱である以上、いい人材を集めることが企業にとって最重要事項だからです。そして、富を手にした人は消費もしくは投資を行います。
つまり、自分のアイデアで富を成した人が、次なる成長の芽に対して投資をする。そんな流れがアメリカでは生まれているのです。
今アメリカでは、プライベート・エクイティ投資が盛んです。プライベート・エクイティ投資とは、非上場企業の未公開株式に投資することです。
この余波は日本にもきていて、有望なベンチャー企業への投資が、最先端の富のつくり方になりつつあります。アメリカも日本も、今一番成長の可能性が高いのはプライベート・エクイティ、IPOです。
知財資本主義の今こそ注目したい3つの分野
――知財資本主義の時代に注目すべき分野について教えてください。
今注目すべき分野は3つあります。それは、AI・バイオ・ブロックチェーンです。この3つの技術革新が未来を変えると私は確信しています。