前日については、週末に予定されていたムーディーズの南アフリカの格付けへの影響が意識されていましたが、結果として格付けは「Baa」で維持、ただ、見通しを「安定的」から「ネガティブ」へ変更しました。中期予算の内容があまりにも悪化していたため、今度こそ投機的等級(ジャンク)になるのではないかと考えられており、ランド売りが主導していましたが、格付けが維持されたことで月曜のマーケットはランドの買い戻しが進んでいます。ただ、見通しがネガティブウォッチになったことで、本当にギリギリのところで投機的等級(ジャンク)を免れいる状況であり、2020年2月に再度格付けが予定されていることから、電力会社エスコムの構造改革に進展が見られないようだと、再びランド売りに繋がるかもしれません。

ユーロについては、欧州PMI(フランス、ドイツ、ユーロ圏)の改定値・確報値が市場予想を上回ったことで、欧州時間はユーロ買い戻しの動きが強まりましたが、NY時間には米長期金利が上昇したことにより、ドル買い、ユーロ売りが強まり、一時1.11751ドルまでユーロ買いが強まる場面がありましたが、1.11252ドルまで下落しています。また、注目されていたラガルド新ECB総裁の就任最初の発言では、金融政策について言及することがなかったので、特段材料視されませんでした。

ポンドについては、12月12日に総選挙を控えており、全体的に動きづらい状況になっています。ただ、英総選挙を巡るICM調査では、英与党・保守党の支持率は38%となり、最大野党・労働党の支持31%から7ポイントのリードに縮まっています。他には、EU残留を主張する自由民主党は15%、ブレグジット党は9%になっており、保守党の票が伸びるのではないかとの思惑が強かったものの、徐々にリードが縮まっており、12月に入れば、世論調査の結果がマーケットに影響してくるのではないでしょうか。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

米・10月非農業部門雇用者数の増加幅は、過去2ヵ月分の上方修正も考慮すると、予想を大きく改善する結果となりました。GM(ジェネラルモーターズ)ストライキが4万人程度マイナスに寄与したにも関わらず、10月非農業部門雇用者数は前月比12.8万人の増加となり、市場コンセンサス(8.5万人増)を上回りました。国勢調査の為の臨時職員の雇用終了分が2万人分あり、政府の雇用を押し下げましたが、民間部門の雇用者数者は13.1万人増加となり、政府雇用の減少を相殺する形になっています。今回の雇用統計で示された内容としては、非常に強い労働市場であるということです。FRBの利下げ打ち止めが意識されていますが、労働市場においては、利下げ打ち止めをサポートする内容になったと考えていいのではないでしょうか。

米中通商協議の状況としては、トランプ大統領は米国内で中国の習近平・国家主席と通商合意の署名をしたいとの考えを示しており、アイオワ州で署名する可能性を示唆しています。また、米通商代表部(USTR)も、米中の部分的な貿易協定を巡り、ライトハイザー代表とムニューシン米財務長官および中国の劉鶴副首相が電話協議を行い、様々な分野で進展があったうえ、懸案事項についても進展中である旨の見解を伝えています。ロス米商務長官も、バンコクにおいて、米中通商協議に関して楽観的な見方を示し、今月中に合意に達することを期待していると述べ、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は、米中の交渉担当者が第一段階の通商合意に向けて大きく前進したことを示唆しており、ここからの状況悪化というシナリオは考えづらく、ドル円については、もう一段高に向かう下地が出来上がりつつあると考えられます。

ポンドロングからユーロロングに戦略変更

ユーロドルについては、1.1120ドルの狙い通りの水準でロングメイクです。昨日のユーロ安の要因としては、米長期金利が影響しているため、ドル買いが強まったことでユーロが売られただけという見方が一般的であるため、ここからの買い戻しは十分考えられます。決済のレベルも変わりなく、利食いは1.1250ドル付近を想定し、1.1080ドル下抜けで損切りとします。

海外時間からの流れ

本日の東京時間に、米国が対中関税の一部解除を検討との報道があり、米中通商協議が順調に進んでいるとの思惑から、リスクオンの円売りが強まる場面がありました。一時、中国当局者の話として「米国との間で包括的かつ長期的な貿易合意に達することが可能かどうか疑念を抱いている」との報道からリスクオンイベントとして危ぶまれましたが、引き続き、緩やかなリスクオンの地合いは継続する可能性が高そうです。

今日の予定

本日は、豪中銀(RBA) 政策金利、英・10月サービス業PMI、米・9月貿易収支、米・10月ISM非製造業景況指数、米・9月JOLT労働調査などの経済指標が予定されています。要人発言では、バーキン・リッチモンド連銀総裁、カプラン・ダラス連銀総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。