米中貿易摩擦や消費増税、世界的な経済減速などの影響で株価は長らく低迷しており、株式相場は明るいニュースを待ち望んでいる状況です。日銀の超低金利政策もしばらく変わりそうもなく、定期預金に預けていても金利は0.1%未満です。

そんな状況の中、資金の運用先に悩んでいる人も多いでしょう。そこで、今回の記事では配当・分配金を中心とした比較的リスクを抑えた資産運用法を紹介します。

現在は株価が膠着状態にあることもあって、上場株式の中には配当利回りが5%を超える銘柄も少なくありません。10年間運用すれば50%に達するため、低金利時代にあっては有利と言えるでしょう。

ただし元本保証ではありませんし、減配も起こり得ます。よって資産運用に当たっては、リスクコントロールが欠かせません。

2019年の配当利回りは過去最高

不労所得,株式投資
(写真=TippaPatt/Shutterstock.com)

高配当銘柄を選ぶ際、主な指標として使われるのが配当利回りで、株価に対する配当金の割合を示します。株価が1万円で配当が300円なら、配当利回りは3%です。2013年以来ずっと1%台だった配当利回り(東証一部平均)は、今年に入って2%の大台に乗りました。

この要因の一つは、株価の低迷です。配当水準が同じで株価が下がれば、配当利回りは上昇します。もう一つの要因は、企業のスタンスが株主重視にシフトしていることです。

多くの企業において今年の業績見通しは厳しく、4~9月上場企業決算における純利益は2割減でした。それでも中間配当を増やす企業は多く、中間配当総額は約5兆円と去年よりも2%増えました。ちなみに、この金額は10年前の3倍に相当します。増配は4社に1社程度の約500社で、減配は100社前後(20社に1社程度)に留まっています。

配当性向(利益のうち配当に回した割合)は、去年より5ポイント増えて30%に達しました。今後も、企業の「より株主に報いる」方針はしばらく続くでしょう。配当利回りが上昇傾向にある中で、5%を超える銘柄は約70社(東証一部上場銘柄)、4%以上なら約250社もあります。

高配当銘柄の選び方

高配当銘柄を選ぶ際、特に注意したいのは減配リスクです。減配に見舞われると、高配当株としての魅力がなくなるだけでなく、株価が下落する可能性も高くなります。

減配リスクについて、まず気をつけたいのが企業規模です。財務基盤が小さく、業績のブレが比較的大きい中小型株は避け、時価総額上位の大型株から選ぶことが減配リスクの軽減につながります。時価総額1,000億円が、おおよそのボーダーラインです。

時価総額が大きく、かつ高配当の銘柄には、総合商社やメガバンク、自動車メーカー、通信キャリアの他、キヤノンやJTなどの配当重視を掲げる大手企業があります。しかし、大型株なら絶対安心というわけではありません。現在は経済の先行き不透明であり、それが業績不振を招いて減配につながる可能性があります。

そこで注目したいのが、クオーター(3か月の決算期)ごとの利益進捗率です。たとえば第1クオーターの進捗率の目安は25%で、これを下回るようなら注意が必要です。今期決算では日中貿易摩擦や中国経済減速等の影響で外需株の業績進捗が芳しくない一方で、ディフェンシブとされる内需株は概ね好調を維持しています。

過去の配当の推移も確認しておきましょう。ニトリは16期連続、KDDIは18期連続で増配を続けており、これらの銘柄は株価も安定しています。

最後は、配当の余力を示す配当性向です。キヤノン(68.2%)やJT(69.7%)など配当性向が高い企業は、業績次第で減配する可能性が高いです。配当性向の目安は40%程度で、このラインをクリアしている銘柄は、多少の業績悪化でも配当を維持できる可能性が高いです。

経済の先行きが不透明な中、個別株選びにおいて高配当というだけで飛びつくのはおすすめしません。時価総額や業績、増配傾向に着目し、減配リスクの低い銘柄を選びたいものです。(提供:Incomepress

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