前日の海外市場では、ドル円は109円を中心とした動きとなっていましたが、一部報道による米政府高官の話として「米中の第1段階の通商合意の署名が12月にずれ込む可能性がある」とのヘッドラインが流れたことにより、ドル円は一時108.821円まで下落する動きとなりました。ただ、その後の続報もなく、特段ドル安へ傾ける材料もないことから、ドル円はじりじりと109円付近まで買い戻される動きとなりました。また、ポンドドルでポンド売りドル買いの動きが活発化したことも、ドル円の上昇をサポートしたものと思われます。

ポンドについては、調査会社ユーガブがスカイニュースの委託を受けて実施した世論調査結果によると、保守党の支持率は36%となり、前回の38%から2%低下しました。このまま12月12日に向けて保守党の支持率がこのまま低下し続けるのではないかとの懸念が強まり、ポンドドルは1.2845ドル付近、ポンド円でも139.90円付近までポンド安となりました。今回の総選挙はブレグジット党が台風の目になると目されており、14日の候補者推薦の締め切り、16日の選挙区候補者リストの公開を前に神経質な動きになりそうです。

ユーロドルについては、1.1100ドルを目前に、IMFがユーロ圏19ヵ国の今年の経済成長率見通しを1.2%と公表し、4月時点の1.3%から下方修正しました。IMFによれば、ユーロ圏の中心であるドイツ経済はさらに減速する見込みであり、今年の経済成長率の見通しは0.5%で、昨年実績の1.5%と比較して成長率は1/3にとどまる見通しです。米中貿易摩擦の影響で製造業の不振が、非製造業にも波及する可能性を指摘しており、ユーロについては、引き続き上値の重い展開になりそうです。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

本日は、BOEが金融政策と共に、英中銀金融政策委員会(MPC)議事録、インフレレポートとカーニーBOE総裁の発言が一気に集約されるスーパーサーズデーになります。ただ、12月12日に英国は総選挙となるため、方向性を見出すまでは具体的な評価は難しいため、引き続き評価保留、様子見となる可能性が高そうです。前回の会合にて、利下げを主張する可能性を示唆するメンバー(サンダーズ委員、ブリハ委員)が出てきたことも事実であり、据え置きになる可能性はほぼ確実視されているものの、満場一致にはならないかもしれません。ただ、12月12日で政治情勢が明確になることは間違いないので、今回の会合で具体的な方向性を示すようなことはないと考えられます。

ムーディーズの格付け評価を何とか乗り切った南アランドについては、買い戻しの動きもあり堅調に推移していますが、ここにきてトルコリラも堅調に推移しています。背景としては、エルドアン・トルコ大統領とトランプ米大統領は電話で会談し、エルドアン大統領が来週13日に訪米し、予定通りワシントンでトルコ米首脳会談を開催することを確認したとトルコ政府高官が発言したことがあります。米下院のトルコ強硬姿勢に反発し、エルドアン大統領は「訪米は未定」としていましたが、予定通り訪米することで、トルコリラの買い安心感が強まったのだと思われます。

豪ドル円ロングメイクだが、あくまでこれは短期戦略

豪ドル円ロングのターゲットである74.80円付近まで押し目を付けたことで、84.80円台でのロングメイク成功です。米中通商協議において、やや後ろ向きなヘッドラインが出てきているものの、あくまでリスクオンの小休止、リスクオフには傾かないとの見解から、豪ドル円ロングは継続です。損切りは74.40円下抜けに設定し、利食いは、直近高値を僅かに更新する75.50円付近を想定します。

海外時間からの流れ

本日の東京時間に発表された豪・9月貿易収支では、市場予想50.5億豪ドルの黒字に対して71.8億豪ドルの黒字になったことから、目先の豪ドル売りが小休止しています。毎日のように米中通商協議のヘッドラインの風向きが変わるため、方向性が定めづらいものの、第一段階の署名が延期になっても12月には署名するだろうとの思惑があるため、リスクオンの動きが一服しても、ここから積極的にリスクオフに傾くような展開にはならないと考えられます。

今日の予定

本日は、英中銀(BOE)政策金利/英中銀金融政策委員会(MPC)議事録/英中銀四半期インフレ報告、米・新規失業保険申請件数などが予定されています。要人発言では、カプラン・ダラス連銀総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。