(本記事は、石原 結實氏監修、石原 新菜氏の著書『「空腹の時間」が健康を決める』新星出版社の中から一部を抜粋・編集しています)

血管,人体
(画像=PIXTA)

血管の役割とは?

私たちは日々、さまざまな活動をとくに意識することなく、ごく自然におこなっています。日常生活をスムーズに送ることができるのは、体のなかにある60兆個の細胞ひとつひとつが、休みなくきちんきちんと働いてくれているから。

働き者の60兆個の細胞を、全面的にバックアップしているのが血液であり、血管です。

血液が運んでくる栄養・酸素・水分を糧に細胞は活動しています。そして、活動することによって生じた老廃物を回収するのも血液・血管の仕事です。

食べ物で得た栄養や、呼吸によって得た酸素は、血液に取りいれられて動脈のなかを流れます。その栄養素や酸素を毛細血管に引きつぎ、それぞれの細胞に届けます。

細胞は、その栄養素や酸素をつかって、さまざまな活動をします。

体を動かす、頭で考える、髪の毛が伸びるといった、わかりやすい活動をはじめ、食べ物を消化・吸収する、体を治す、お肌をみずみずしく保つなど、すべての生命活動は、それぞれの細胞が栄養・酸素・水分を使っておこなっています。

細胞がこのような活動をすると、老廃物や二酸化炭素といった体にいらないものが発生します。

血管の働き
食べ物(栄養素)&呼吸(酸素)

動脈

毛細血管

生命活動(体や頭を使う、肌の回復など)

毛細血管

静脈

排泄(老廃物&二酸化炭素)

これらを回収するのも、血液・血管の仕事。体に不要なものを、まず毛細血管を通る血液に取りいれて、その後、静脈へと橋渡しします。

血液に取りいれられた老廃物や二酸化炭素は、血管を通じて、便、尿、汗、呼吸などによって、体の外に排泄されるのです。

血液は免疫や体温調節にもかかわる

さらに、血液は体を守る免疫作用や体温の調節といった役目も果たしながら、全身をくまなく流れています。

全身の細胞は、血液や、その通り道である血管なくしては存在が成り立たないのです。

私が、常々「健康とは血流!」と力説する理由はここにあります。「血液がきちんと流れる」ことで、細胞はいきいきと働きだし、人は若く健康でいられるのです。

細胞の頼みの綱である血液が届かなければ、細胞はきちんと働けません。だからこそ、細胞に血液を届ける毛細血管が重要になるのです。

健康の大敵「ゴースト血管」とは?

最近、テレビや雑誌で度々取りあげられているので、ゴースト血管ということばをご存じの方も多いでしょう。

ゴースト血管とは、ほとんど働くことができなくなった毛細血管のこと。毛細血管の働きがひじょうに悪くなり、毛細血管への血流がほぼ途絶えた状態を指します。

血流が途絶えた状態がつづくとどうなるのでしょうか?

なんと恐ろしいことに、毛細血管じたいが消失してしまうのです。

信じられますか? 人体をくまなく網羅し、細胞の働きをサポートする血液を通すはずの毛細血管が消えうせてしまうなんて。

細く繊細な毛細血管だから、小さな細胞にも酸素や栄養素を届けることができます。その毛細血管がゴースト化すると、細胞に栄養・酸素・水分が届かなくなるのです。

美容と健康に大打撃

人間の生命活動のベースにある細胞という存在が、弱ってしまったり死んでしまったりするのですから、毛細血管がゴースト化することによって引きおこされる弊害はあらゆる面にあらわれます。

目の下にクマができる、顔色が悪くなる、シミやシワが増える、白髪や抜け毛が増えるといった美容面での影響は、女性ならひじょうに気になるところでしょう。  

健康面でも影響は深刻です。

東洋医学では万病の陰には必ず「冷え」の存在があると考えています。体温が低い人は体の免疫機能が正しく働かないため、病気に対抗できなくなるということが現代医学でも証明されました。

毛細血管が弱ると病気に
毛細血管の働きの低下

ゴースト血管化

体調不良・老化

病気

ゴースト血管は温かい血液が流れていない血管。栄養が運ばれず老廃物も回収されない。そのうえ「冷え」も発生させるために免疫力も落ち、さまざまな病気を引きよせてしまいます。

糖尿病、高血圧、心筋梗塞や脳卒中のほか、ゴースト血管とガンとの関係も指摘されています。

さらに、老化を速めるほか、認知症や骨粗鬆症にもゴースト血管が関わっていることもわかってきました。

毛細血管がしっかりと働かないと、老化、体調不調、そして病へとつながる証(あかし)が、どんどん明らかになっているのです。

「空腹の時間」が健康を決める
石原 結實
イシハラクリニック院長。ヒポクラティック・サナトリウム施設長。ジョージア共和国科学アカデミー長寿医学会名誉会員。1948年長崎市生まれ。長崎大学医学部を卒業して血液内科を専攻。同大学院博士課程で医学博士の学位を取得。スイスの自然療法病院、B・ベンナークリニックやモスクワの断食療法病院でガンをはじめとする数々の病気、自然療法を学び、コーカサス地方の長寿村にも長寿食の研究に5回赴く。テレビ、ラジオなどの出演や全国講演でも活躍中。クリニック院長のほか、伊豆で健康増進を目的とする保養所、ヒポクラティック・サナトリウムを運営。ベストセラーとなった『生姜力』(主婦と生活社)を含め著書は300冊以上にのぼり、米国、ロシア、ドイツ、フランス、中国、韓国、台湾、タイなどで100冊以上が翻訳されている
石原 新菜
イシハラクリニック副院長。ヒポクラティック・サナトリウム副施設長。健康ソムリエ講師。1980年長崎市生まれ。幼少期をスイスで過ごす。医学生の頃から父・石原結實とメキシコのゲルソン病院、ミュンヘン市民病院の自然療法科、英国のブリストル・キャンサー・ヘルプセンターなどを視察し、自然医学の基礎を養う。クリニックでの診療のかたわら、メディア出演、執筆、講演活動なども積極的におこない、「腹巻」や「生姜」などによる美容と健康増進の効果を広めることに尽力している。二児の母で、母として女性としての視点からのアドバイスにも定評がある。著書は中国、香港、韓国、台湾、ベトナムなどで翻訳されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

※画像をクリックするとAmazonに飛びます