(本記事は、石原 結實氏監修、石原 新菜氏の著書『「空腹の時間」が健康を決める』新星出版社の中から一部を抜粋・編集しています)

アレルギー,花粉症
(画像=PIXTA)

アレルギーも毛細血管が弱った結果

漢方では体内に存在する「気・血・水」が、滞りなく循環することによって健康に過ごせると考えています。気はエネルギー、血は血液、水は体液のことです。

「気・血・水」は相互に影響しあっているので、ひとつでも循環が滞ると残りの巡りも悪くなってしまいます。

三つが三つ、少なすぎたり多すぎたり、弱すぎたり強すぎたりせず、「ちょうどよく」活動することでバランスが保たれるのです。

体内の「水」の循環が悪くなった状態を「水毒」といいます。

体に必要不可欠な水分ではありますが、たくさんありすぎると体が冷えて代謝や免疫力まで低下し、さまざまな問題を引きおこします。

現代病ともいえる「アレルギー」もまた、水毒が原因です。

水毒に陥った体は、涙、鼻水、くしゃみで余分な水分を捨てはじめます。

ピンときた方もいらっしゃるでしょう。

涙、鼻水、くしゃみといえば、花粉症の症状そのものです。

水毒への対抗手段がアレルギーの症状

花粉症と並んで多くの人が苦しんでいるアレルギーといえば「アトピー性皮膚炎」でしょう。

皮膚は最大の臓器であり、「排泄」という重要な役割を担っています。

水毒になってしまった場合、尿や便で間に合わないと皮膚を使ってだぶついた水分を捨てようとするのです。

その結果、皮膚がじゅくじゅくするアトピー性皮膚炎の症状があらわれます。

体は理にかなった行動をします。取りのぞくべきとされるアレルギーの症状が、実は水毒というトラブルを解決するための体の反応なのです。

薬でむりにアレルギーの症状を抑えると、残念ながらいつまでたっても水毒は改善されません。

アレルギーの特効薬は「毛細血管の強化」

アレルギーの症状は、「体にとっていらない水分を排泄する」働きといえます。

その症状を抑えるということは排泄をむりに止めるようなものですから、体の負担になるのは当然です。

いらない水分を排泄するために大きな役割を果たすのが毛細血管。

「汗腺を開かないと毛細血管が弱る」で述べたように、汗と毛細血管は深いつながりがあります。

血流を促進して毛細血管の働きを活発にすると、アレルギーの症状を引きおこしている「いらない水分」を捨てられるようになるのです。

毛細血管が弱ると腸内環境も悪くなる

私たちは「食べる」という行為で生命活動を維持しています。

豊かな日本では、「食べる」ことは単に栄養をとるだけにとどまらず、心によろこびをもたらしてくれることでもあります。が、やはり基本は生命活動の維持。

食べ物が私たちの原動力となるのです。

取りいれた食べ物の処理の大部分を担っているのが腸。腸は消化吸収をおこなう小腸、便をつくる大腸に分けられます。

栄養を吸収する小腸は絨毛(じゅうもう)で覆われていて、その絨毛を広げるとテニスコート一面分の面積になるといわれています。

小腸には毛細血管が密集していて、効率よく栄養を吸収できるようになっています。

小腸は「免疫力」の中心

さて、小腸は消化吸収のほか、もうひとつ大きな役割を担っています。

健康を大きく左右する「免疫力」の中心なのです。

小腸は外部からの敵と接触する機会がもっとも多い臓器といえます。

小腸の表面積の広さは栄養の吸収に役立つものではありますが、体のなかに入ってくる病原菌やウイルスの攻撃にさらされるリスクも上げてしまいます。

そのため、腸には体のなかにある免疫細胞の半数以上が集まり、病原菌やウイルスに対抗しているのです。

小腸に存在する免疫細胞は、小腸で外敵と戦うだけではありません。

病原菌やウイルスと接触したときに、外敵の特徴をしっかりと覚えるのです。

外敵の特徴を学んだ免疫細胞は、血液によって全身に運ばれます。

そして、外敵に似たものを発見すると速やかに攻撃して取りのぞくのです。

若く健康な細胞ができるのは毛細血管のおかげ

食べ物の消化吸収、そして免疫機能を担っている小腸は、責任重大かつ超多忙な臓器です。

そこで働く細胞は、短期間でどんどん入れかわります。

常に健康で若い細胞でなければ、健康にかかわるハードワークをやってのけることはできないからです。

小腸の細胞の代謝を支えている存在はといえば、もちろん毛細血管。

元気な毛細血管があるからこそ次々に若い細胞が生まれ、小腸はしっかりと働くことができ、免疫力も守られるのです。

腸内環境の悪化であらわれる症状

● 便秘・下痢
● おならがよく出る
● 口臭やおならがくさくなる
● 体臭がきつくなる
● ニキビ・肌荒れ
● イライラ

など


小腸の力が弱っているサイン

しょっちゅう風邪をひく、常に体調がすぐれないという方は、小腸の状態が悪くなっている、つまり小腸をサポートする毛細血管の力が低下していると考えられます。

疲れやすく、休んでも疲れがとれないなど、なんとなく体が弱っている実感がある方も同様で、小腸の働きが落ちて免疫力まで下がっている状態といえます。

上記の「腸内環境の悪化であらわれる症状」がある方は、腸内環境を整えて免疫力をアップさせましょう。

腸の力を存分に発揮させるには、やっぱり空腹がいちばん。空腹の時間を長くとることで、腸をしっかりと休ませることができるのです。休息の時間をたっぷりとってリフレッシュできれば、腸内環境も整い免疫力がアップするのです。

また、発酵食品(味噌、納豆、ヨーグルトなど)などは腸内環境を整える効果があります。日頃から意識的にとることで、免疫力の維持や向上に役立ちます。

「空腹の時間」が健康を決める
石原 結實
イシハラクリニック院長。ヒポクラティック・サナトリウム施設長。ジョージア共和国科学アカデミー長寿医学会名誉会員。1948年長崎市生まれ。長崎大学医学部を卒業して血液内科を専攻。同大学院博士課程で医学博士の学位を取得。スイスの自然療法病院、B・ベンナークリニックやモスクワの断食療法病院でガンをはじめとする数々の病気、自然療法を学び、コーカサス地方の長寿村にも長寿食の研究に5回赴く。テレビ、ラジオなどの出演や全国講演でも活躍中。クリニック院長のほか、伊豆で健康増進を目的とする保養所、ヒポクラティック・サナトリウムを運営。ベストセラーとなった『生姜力』(主婦と生活社)を含め著書は300冊以上にのぼり、米国、ロシア、ドイツ、フランス、中国、韓国、台湾、タイなどで100冊以上が翻訳されている
石原 新菜
イシハラクリニック副院長。ヒポクラティック・サナトリウム副施設長。健康ソムリエ講師。1980年長崎市生まれ。幼少期をスイスで過ごす。医学生の頃から父・石原結實とメキシコのゲルソン病院、ミュンヘン市民病院の自然療法科、英国のブリストル・キャンサー・ヘルプセンターなどを視察し、自然医学の基礎を養う。クリニックでの診療のかたわら、メディア出演、執筆、講演活動なども積極的におこない、「腹巻」や「生姜」などによる美容と健康増進の効果を広めることに尽力している。二児の母で、母として女性としての視点からのアドバイスにも定評がある。著書は中国、香港、韓国、台湾、ベトナムなどで翻訳されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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