前週末の海外時間では、東京時間にクドロー米国家経済会議(NEC)委員長が「中国との貿易協議は合意に近づいている」と述べたことでリスクオンの動きが強まっていましたが、欧州時間にロス米商務長官が「米中はほぼ確実に合意するだろう」との見解を示したことが決定打となり、トランプ大統領が「対中関税撤回でまだ何も合意していない」と発言したことがきっかけとなったリスクオフの動きは小休止し、再び緩やかなリスクオンの動きが活発化し、ドル円は108.85円付近まで上昇しました。

また、英国選挙関連でも動きがあり、一部報道では、「ブレグジット党は2017年の選挙で与党保守党と労働党が接戦を繰り返した選挙区に立候補者を立てない」との見解を示していると報じられました。12月12日に迫っている英国総選挙ですが、既に、ブレグジット党のファラージ党首は「保守党が議席を持っている317選挙区に立候補者を立てない方針」を表明しており、この報道が真実であれば、保守党が有利に選挙戦を進めることになり、単独過半数(326議席)の可能性も十分考えられます。

既にブレグジット党が保守党をサポートする報道が後押ししたのかどうかは定かではないですが、週末に行われた世論調査では、若干の違いはありますが、保守党に投票する意向を示す有権者のは44-45%になっており、前回から3-4ポイント改善しています。また、ブックメーカーのベットウェイのオッズでは、保守党の過半数獲得の可能性が55%近辺から66%近辺まで上昇していることも、保守党が盤石な選挙戦を進めていることを示しているのだと考えられます。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

今後の焦点としては、再び楽観的な見方が強まってはいるものの、米中通商協議関連のヘッドラインが重要視されそうです。隔週で一喜一憂するマーケットになっていますが、根本的な部分では米中合意への期待は維持されているものと思われます。16日に米中閣僚級通商協議が行われ、中国商務省からは「建設的な協議だった」と表明しているものの、依然として米国側からの見解がないことで、上下に動きづらい地合いになっています。米国側からも中国側同様に、ポジティブな内容の発信があれば、ドル円は109円台を回復してくるものと思われます。

また、ジョンソン英首相は、選挙公約の一環として、18日に開かれる英産業連盟(CBI)の年次会合で、年間10億ポンド(約1400億円)相当の法人減税を実施する方針を表明すると、事前に公表された演説の抜粋で明らかになりました。浮動票のみならず、財界首脳の支持獲得を目指すものと考えられるため、状況によっては、より盤石な体制を構築できるかもしれません。基本的に、保守党有利の報道は、ポンド買いに繋がります。

ブレグジット党の選挙支援は、ポンド高をサポートしそうだ

ポンドドル、1.2820ドルのロングポジションは、じり高になっているものの、利食い水準までは少し時間を要しそうです。ブレグジット党が保守党へ選挙支援をすることは、ポンド高を牽引する材料になりそうなことから、このまま利食い水準まで様子を見たいと思います。利食いは1.2950ドル付近を意識し、1.2770ドル下抜けで損切りとします。

海外時間からの流れ

米中通商協議の現状の証言としては、rollback(ロールバック)になりそうです。中国側は米国産農産物の輸入の条件として、対中制裁関税の段階的な撤回(rollback)を望んでいると考えられますが、米国側は対中制裁関税第4弾のみの撤回を想定しているものと思われます。この動きの中で、うまく折り合いが付けられるかどうかがポイントになりそうです。

今日の予定

本日は、主要な経済指標が予定されていません。要人発言では、デギンドス・ECB副総裁、デコス・スペイン中銀総裁、レーン・ECBチーフエコノミスト、メスター・クリープランド連銀総裁の講演が行われる予定です。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。